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ツインズを勢いづけた、新人リリアーノの強心臓。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2006/07/24 00:00

ツインズを勢いづけた、新人リリアーノの強心臓。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「もう一人のヨハン」の声が上がれば、「左のペドロ」と表現するメディアもある。また、「スライダーの威力はランディの全盛期」と、絶賛するコラムニストもいる。言うまでもなく、ヨハンは同じツインズの大黒柱サンタナであり、ペドロはサイ・ヤング賞3回のマルチネス、そしてランディとはあのジョンソンのことだ。

 今年は新人の大当たり年、球界にビッグウェーブが押し寄せていることを実感するが、その代表の一人がフランシスコ・リリアーノだ。ドミニカ出身の22歳は、最速98マイルのファストボール、90マイルの高速スライダー、カーブ、チェンジアップを豪快に投げ分け、9勝1敗、防御率1.99(7月3日現在)という抜群の成績を残しているのだ。しかも、1イニングに1個以上の奪三振を記録している。その凄さを表すために3人のビッグネームが必要なのもうなずける。

 このなじみの薄い新人の名前が全米に轟いたのは6月22日、ロジャー・クレメンスの復帰戦。大投手を向こうに回し、8回を4安打2失点に抑え、5回でマウンドを降りたロケットから主役の座を奪うと同時に7勝目をマークしたのだ。

 「あの若さで、雰囲気に飲まれることなく冷静さを保てる。才能も技術もあるのだから、どこまで伸びるのか想像もできない」と、ロン・ガーデンハイヤー監督。また、サンタナも「マウンドに立って、自分がどういう投球をすればいいのか分かっている」と、舌を巻く。

 開幕時点では中継ぎだった。だが充実していたはずの先発陣が軒並みふるわない。そこで、カンフル剤的に起用されたのがリリアーノというわけなのだ。新人の奮闘の効果は他の先発陣全ての目を覚まさせた。リリアーノが初先発した前日の5月18日までで、先発陣の防御率は6.63、チーム成績は17勝24敗だったのに対し、その後の27試合では防御率は3.63と大幅に改善され、チームは17勝10敗と大きく勝ち越したのである。そして、破竹の11連勝。首位までのゲーム差が9まで縮まった。カンフル剤は依然として強烈な効き目を発揮している。

 「自分でも随分進歩したと思うけど、まだファストボールの制球力をつける課題が残っている」と、驚異の新人は、その凄みとは対照的に静かに語るのだった。

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