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デビュー14年目の新境地。
アイバーソンの最終目標は? 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2009/01/29 00:00

 今から2年ほど前のこと、フィラデルフィア・セブンティシクサーズからデンバー・ナゲッツにトレードされた直後のアレン・アイバーソンが、「前のチームでの写真を見るのがつらい」と言っていたことがあった。

 アイバーソンにとって、シクサーズでの年月は楽しいことばかりではなかった。NBAファイナル進出やMVP受賞などいい思い出もあったが、その一方で、強気で怖いもの知らずの若者が成長する過程で、失敗や後悔するようなこともたくさん経験した。それだけ思い出がつまったチームを離れることになったことで感傷的になっていた。

 あれから2年がたち、アイバーソンは去年11月に二度目のトレードでデトロイト・ピストンズに移った。今年1月9日、トレード後に初めてデンバーを訪れたときには、試合前の昼寝ができないほど興奮し、試合開始前にファンから喝采を受けたことに心を打たれたという。

 「2年前には、ここ(デンバー)で選手生活を終えると思っていたからね」とアイバーソンは古巣への思いを語る。

 新人の頃から我が道を貫いてきたアイバーソンだが、実のところ、チームや仲間に対する忠誠心は人一倍強い。シクサーズでもナゲッツでも、常にそこで骨を埋める覚悟だった。しかし現実は必ずしも理想どおりには進まないものだ。

 そのことは、彼のユニフォームの背番号に表れていた。これまでいつも“3”をつけてきたが、ピストンズではすでに使われていたため、“1”を選んだ。

 「昔からずっと3をつけてきたから、自分のユニフォームを見ても奇妙な気分だ」とアイバーソンは苦笑いする。

 今回は「このチームで引退」という幻想は抱いていない。今夏に契約が切れたときにピストンズが契約を更新する保証すらない。チームの中心選手として迎え入れられたわけではないのだ。

 それでもアイバーソンが笑顔で現状を受け入れたのは、長年求めてきた“優勝”に近づいていると思えるからだった。

 「今までとは違うし、平均得点もプロになって一番少ない。でも、今までいくら得点をあげても優勝できなかったんだ」

 慣れ親しんだ背番号も、チームへの愛着も捨て、今、彼がこだわっているのは優勝への思いだけなのかもしれない。

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