SCORE CARDBACK NUMBER

2人の監督が見せる好対照のチーム作り。 

text by

永井洋一

永井洋一Yoichi Nagai

PROFILE

posted2004/08/12 00:00

2人の監督が見せる好対照のチーム作り。<Number Web>

 アジアカップを闘うA代表は、第1戦、オマーンの出足鋭い組織サッカーに翻弄され、近年で最もひどい内容ともいえる試合をしたが、中村俊輔の一発でどうにか勝利を手繰り寄せた。第2戦のタイ戦も、結果的には4―1と順当な勝利ではあったが、タイの速攻に先取点を献上した試合内容はひどく安定感を欠いていた。とはいえ、早々とグループリーグ突破を決めたことは事実。オマーン戦に続いて不安定だった中盤を修正すべく、タイ戦の後半から小笠原を投入して4―4―2にシフトチェンジしたジーコ(外字6797)配も、一応の結果にはつながった。

 同時期、五輪代表はチュニジアに敗れ、韓国にシュートが打てず、オーストラリアにも完封負けした。もとより「組織」という概念では、はるかにA代表より高い評価をうけている五輪代表だが、この3戦ではW杯トルコ戦のイメージを思い出させるような「約束事」の限界を感じさせた。いまだ漠とした観の残るジーコのチームづくりに比べて、コーチングマニュアル通り一分の狂いもないといった観のある山本昌邦監督のチームマネジメントには、一部で称賛の声が高まっている。しかし、そのマネジメントが勝負師としての勘どころよりも、図式的なもの、セオリー的なものにとらわれすぎていないか気になる。

 チーム内の競争原理を強調するのもいいが、チュニジア戦のように選手が評価を気にして本来の動きを失ってしまっては本末転倒だ。最終メンバーの18人には、チームの力の総和を考えた人選をしたようだが、全体のバランスはよいものの、個々のインパクトに欠ける印象を持つ。選手はチームを率いる監督の鏡である。ひたすら真面目にプレーし、常に密な連繋を見せるものの、勝負どころでなかなか「輝き」を感じさせない五輪代表のプレーは、山本監督のコーチングを具現しているのかもしれない。

 経験則と自らの勝負勘を頼りに、素人からすれば「おや」と思わせるような人選、布陣、采配を示しながらも、とりあえず結果だけはついてきているA代表のジーコ監督。近代サッカーの理論通りのチームづくりを進めながらも、本番前に思わぬ挫折をしている五輪代表の山本昌邦監督。この好対照を示す両監督のチームづくりが、今後、どのような結果を残していくか楽しみである。

ページトップ