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三者三様の十両誕生で、新時代到来の予感。 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

PROFILE

posted2004/05/20 00:00

 角界に足を踏み入れた力士達の第一目標とは、関取に仲間入りする十両だ。夏場所、3人の将来性豊かな若武者達が、十両の土俵に新風を送り込む。

 注目度筆頭は、元横綱貴乃花(現親方)の17歳2カ月に次ぐ、歴代2位(17歳9カ月)の年少昇進を果たした萩原だ。この機会に本名である四股名の改名問題が検討されたが、今の勢い、上げ潮を大切にする意味で変更はしない。身長185cm、体重141kgの恵まれた体格はまだまだ成長の余地充分である。十両の強い当たりに対抗するため、150kgへの増量を計画中という。中学時代は野球部の4番でエースという、相撲とは無縁だった萩原が鳴戸部屋を選んだ理由は「角界随一の稽古量を誇る部屋だから」。親方の密着指導のもと、連日の50番超の猛稽古をこなす和製大器に期待が膨らむ。

 その萩原をライバルに指名し、歴代4位タイの所要9場所でスピード昇進したのは、佐渡ヶ嶽部屋の琴欧州。四股名から連想するように、ブルガリア出身初の関取は、203cmという現役最長身だ。レスリングで鍛えた強靭な下半身、懐の深さを武器に、春場所では3度目の対戦で初めて萩原を破り、勢いに乗って幕下優勝を飾った。ベッカムにたとえられるようなイケメン力士で、女性ファンも急増中。気の早い相撲ファンからは、ライバル萩原と、「曙貴」の再来という声も挙がるが、今は激しく厳しい競争が大事である。春巡業中には、横綱朝青龍から異例の直接指導も受けた2人。「すぐに上がってこい」というエールに一場所でも早く応えて欲しい。

 3人目は、琴欧州との身長差34cm、小柄な入門希望者を対象に2001年春場所から導入された第2新弟子検査(167cm、67kg以上)の合格者から、初の関取となった時津風部屋の豊ノ島だ。身長169cm、戦後初の160cm台関取は、相撲どころ高知県出身である。中学、高校相撲では鳴らすも、プロ入りは周囲から「体が小さいから無理」と反対された。しかし、これを発奮材料に、所要14場所、20歳で第一目標をクリアした。豊ノ島の目指す相撲は、速さ巧みさが売りだった琴錦の相撲である。個性派力士の台頭が望まれる中、可能性を秘めた小兵関取が誕生した。

 三者三様の新十両。新緑の季節にぴったりの新鋭3人の相撲に注目して欲しい。

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