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メジャー屈指の名手、今季は打撃も開花した。 

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出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2005/10/13 00:00

メジャー屈指の名手、今季は打撃も開花した。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 ブレーブス・ファンなら誰しも、こんなビッグなシーズンがくることを心待ちにしていたはずである。9月に入ると、地元ターナーフィールドでは打席に立つたびに熱烈な「MVP、MVP」のコールが湧き上がるようになった。アンドリュー・ジョーンズはとうとう、その類まれな才能を開花させたのである。14シーズン連続となる地区優勝に、主砲として大きく貢献。同時に、伝説の男ハンク・アーロンと、殿堂入りしたエディ・マシューズが保持してきた47本の球団記録を大幅に塗り替える51本のホームランを放ち、打点も球団3人目の130点台目前だ(9月26日現在)。

 それでも、ジョーンズはきっぱりいう。

「とにかくワールドシリーズに出たい。記録や賞はあくまでもボーナスさ」

 大きなえくぼに幼さは残るが、落ち着いた話しぶりに大人のムードが漂う。

 超大型ルーキーとして全米の度肝を抜いたのは19歳の秋、'96年のことだ。1Aで開幕を迎え、2A、3Aと駆け抜けてメジャーに途中昇格したジョーンズは、リーグ優勝決定戦でポストシーズン最年少ホームランを放つと、ヤンキースと対戦したワールドシリーズ第1戦、最初の2打席を連続でスタンドへ。カリブ海に浮かぶ島、キュラソーからやってきた少年が成し遂げた史上2人目の快挙に、ヤンキースタジアムは大きくどよめいた。

「一体どんな大打者になるのだろうか」

と周囲の期待は際限なく膨らんだのだが、成長ぶりは鈍かった。その存在をアピールしたのは、豹のような俊敏さをみせる守備。肝心の打撃では、何にでも手を出す典型的なフリースインガーで三振ばかりを繰り返していた。

 '00年に一度はブレイクした。初の3割、自己新の36HRを打った。しかし、一発を狙うあまり、そのレベルからもうワンランクアップすることができずにいた。そんな中、転機は昨オフに訪れた。

「自宅の打撃練習場でひとり打ち込みをしているうちに、もう少し投球に逆らわない打撃をしてみようと思った。そのために、今までより構えのスタンスを広げた。それがぴったりハマった感じがする」

 再ブレイクしたジョーンズ。ポストシーズンでもチームを引っ張り、その名を轟かせたワールドシリーズで、9年ぶりの大暴れを見せてくれるだろうか。

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