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遅咲きのモンゴル力士大勇武へのお祝いは? 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

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posted2008/05/15 00:00

 横綱同士の千秋楽相星決戦が2場所連続で実現した余波であろう。過去1勝1敗と互角の朝青龍と白鵬3度目の決着戦への期待は、てきめんにチケット販売に現れた。

 4月5日に発売になった夏場所の前売り券は、わずか1日で千秋楽の全席が完売した。窓口に並んだファンは、発売2日前の3日から現れ、さらに発売当日には1600人もの行列が出来た。謹慎あけの朝青龍が注目された今年の初場所の1200人を上回る人気の過熱ぶり。その時も「絵になる男」「銭になる男」が帰ってきたと実感したが、今や朝青龍と白鵬の横綱同士の取組が本場所の看板へと成長したのだ。動と静、タイプも異なるので、支持するファンがはっきり分かれる格好の構図。他の力士たちとの力の差は大きいだけに、今場所も相星決戦の実現が濃厚だ。国技館を二分する千秋楽結びの狂騒が、今から楽しみである。

 両横綱には当然注目が集まるが、ここでは7年間の夢を実らせ遅咲きの花を咲かせた新十両力士も紹介したい。モンゴル出身の大勇武、本名ダワードルジ・オンドラハ、25歳。平成13年春場所に初土俵を踏んだ、白鵬と同期の力士である。相撲界に慣れるのに時間がかかりやや足踏みしたが、先場所東幕下4枚目の最高位で見事全勝優勝。新十両昇進を決め、念願の関取の座を手中にした。

 身長190cm体重125kgの細身の身体は、伸びしろ十分のそっぷ型。粘り強い下半身を支えに多彩な技を繰り出し、天性の勝負勘の良さを見せる。モンゴル相撲の大横綱を祖父に持つ血統は、その相撲の端々に窺い知れる。

 端正なマスクはモンゴル出身力士随一とも言われ、私服はストリート系でなかなかのおしゃれである。流暢に日本語も話し、番付がさらに上がれば女性ファンが急増するに違いない。

 第62代横綱大乃国の芝田山親方が、1999年6月に部屋を興して丸9年、待望の関取第1号だ。現役時代と同様の生真面目さで、地道な稽古を続ける大切さを弟子に伝えてきた親方の熱意が、ようやく実ったのである。

 角界きっての甘党美食家として知られる、“スイーツ親方”の大勇武へのお祝いは、自らデザインした60人分の特製ケーキ。その味は格別だったことだろう。

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