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実力を見せつけた今年の牝馬たち。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byShigeyuki Nakao

posted2005/12/22 00:00

実力を見せつけた今年の牝馬たち。<Number Web> photograph by Shigeyuki Nakao

 例年なら大詰めまでわからない年度代表馬の行方だが、今年ばかりは有馬記念の結果にかかわらず、ディープインパクトで決まりだろう。無敗での三冠達成という輝かしい功績は言うまでもないが、ファンの新規開拓に多大な寄与をしたことでも、近年これほどの馬はいない。武豊騎手の言葉を借りれば、「JRAはディープインパクトに頼りすぎ。よりかかっているように見える」とも言えるのだが、主催団体としてはこれほどのビッグチャンスは滅多にないと考えるのも当然。競馬人気の底上げと安定のために、盛り上げるのもアリだと思う。

 30年ほど昔の話。ハイセイコーという地方競馬出身のアイドルホースが出現したとき、彼が走る姿を見たさに中山競馬場に押し寄せたファンが、その重みでスタンドと芝コースとの境にある柵を押し倒してしまうという伝説を作った。しかし、その人気はダービーで初の黒星を喫したことで失望を呼び、さらに何度かの敗戦を続けるうちに徐々にしぼんで行ってしまった。そう、人気とは勝手なもの。ディープインパクトだけには、「墜ちた偶像」の見出しをつけてもらいたくない。

 今年を冷静に振り返れば、3歳、古馬を問わずに、牝馬が大活躍した年でもあった。まずはシーザリオ(牝3歳、栗東・角居勝彦厩舎)。オークスを勝ったあと、間隔を開けずに米国へ渡り、アメリカン・オークスをも楽勝してしまうという快挙を成し遂げたのだ。

 また、シーザリオを桜花賞で完全に抑え込んだラインクラフト(牝3歳、栗東・瀬戸口勉厩舎)は、オークスには行かずに牡馬相手のNHKマイルCに挑戦、そこで変則二冠を達成したのだから素晴らしい。秋、そのラインクラフトを差し切って、秋華賞馬に輝いたエアメサイア(牝3歳、栗東・伊藤雄二厩舎)を含め、3歳牝馬のレベルの高さは目立っていた。

 古馬も凄い。スイープトウショウ(牝4歳、栗東・鶴留明雄厩舎)が宝塚記念でゼンノロブロイらの牡馬の強豪を堂々と下しているし、秋の天皇賞ではヘヴンリーロマンス(牝5歳、栗東・山本正司厩舎)がゴール前で奇跡的な鬼脚を使って、ゼンノロブロイの連覇を阻んでいる。

 これほど牝馬が強かった年は、あまり例がない。カリスマホースのバックを、強い女性たちが固めていた1年だった。

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