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札幌ハーフの敗戦は、野口みずきを強くするか。 

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藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2005/07/21 00:00

 アテネ五輪の女子マラソン金メダリスト、野口みずき(グローバリー)が7月3日の札幌国際ハーフマラソンに出場した。五輪後にきちんと調整してレースに臨んだのは今回が初めて。アテネ銀メダリストのキャサリン・ヌデレバ(ケニア)との再対決が注目されたが、結果はヌデレバが優勝、野口は3位と明暗を分けた。

 野口は前半こそ快調に先頭を突っ走ったものの、後半スタミナ切れを起こし、タイムも1時間9分46秒と平凡だった。それでもレース後の野口は「今の私には負けることが必要だった」と強気な一面をのぞかせた。

 最大の目標だった五輪で金メダルを取り、競技を続けるモチベーションが薄れていたのは確かだ。今季の目標を「日本記録の更新」に定めたものの、なかなか練習に身が入らず、常に浮わついた状態になっていた。だが、ヌデレバのみならず日本選手の岩本靖代(豊田自動織機)にも負けた今回のレース後は、別人のように引き締まった表情を見せた。報道陣に囲まれると「負けたのは悔しいけど、まだまだ私には足りないところがあることがよく分かった。秋のマラソンに向けてあらためて闘志が湧いてきました」と目を輝かせた。

 秋のフルマラソン復帰は、9月のベルリンか10月のシカゴが有力だ。ともに記録が狙えるコースだけに、復帰戦としてはもってこいだろう。マラソンには「勝負第一」のレースと「記録重視」のレースの2つのパターンがあるが、野口を指導する藤田信之監督は「記録を狙わせるのは簡単」と言いきる。記録を出すためには「目標タイムをもとにスプリットをきちんと計算し、後はそれに合わせた走りを体に覚えさせればいい」からだ。五輪のように勝負優先となると「相手の選手やコースの特徴を分析し、それに合わせた練習をする」必要がある。どちらもそんなに簡単なことではないのだが、少なくとも数字だけを追う方が相手の選手に合わせるより楽なのは言うまでもない。

 アテネで野口に敗れたヌデレバは今年4月のボストンで優勝し、一足早く3年後の北京五輪に向けて動き出した。モチベーションを失っていた野口にとって、札幌での敗戦は本人が認める以上に価値ある敗戦になるかもしれない。

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