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なぜゴルファーのオフは変わってきたのか。 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

photograph byTaku Miyamoto

posted2009/03/12 00:00

 谷原秀人と矢野東のオフトレを垣間見た。場所は、グアム島だった。見ている僕が、つい体を動かしたくなるような環境で、いい汗をかいていた。

 「着実に体が変わっていくという実感があるんですよ。専属のトレーナーの人が、鬼ですから」と矢野は、笑った。

 プロゴルファーのオフトレといえば、その昔は走り込みや打球練習が主で、合理的なトレーニングを取り入れたのはジャンボ尾崎が最初と言っていい。1980年ごろ、尾崎がスランプに陥り、そこで基本的な肉体改造を始めたのである。

 尾崎は、そのトレーニング・メニューを独学でつくりあげた。

 「ゴルフスイングに必要な筋力、柔軟性、あるいは肉体生理学という分野の指導者が誰もいないんだ。だから自分であれこれ書物などをひもとくしかなかった」

 尾崎の部屋にいくと、30cm以上の高さで、それらに関する本が積まれていた。

 タイガー・ウッズが出現した1990年代後半になって《アスリート・ゴルファー》という言葉が生まれた。それはプロゴルファーのイメージを一新した。少しメタボな体格の選手たちが多かったプロゴルフ界に、肉体を鍛え上げた選手が増えてきたのである。

 なぜプロゴルファーが、本格的なトレーニングをするようになったのか。それは、いまの道具の進化と関係がある。かつてパーシモンヘッドといって木製のヘッドを使っていた時代から、チタンヘッドに変わり、そのヘッドの大きさ(質量)が増えることで、慣性モーメントが大きくなった。慣性モーメントが大きくなると、その遠心力に耐えられる、遠心力をコントロールできる柔軟性や筋力が、より必要になるからだ。

 矢野は昨年、賞金ランキング2位と大健闘した。石川遼旋風で少し隠れてしまっていたけれど、10試合連続トップ10入りをするなど、飛躍的な活躍だった。

 「ここまできたら、やるしかないでしょう。いまは、日本の賞金王も目指したいし、米ツアーにいって挑戦してみたい。絶対に、いい結果を残しますから」

 好きなお酒も絶った。美食もやめて、栄養士のメニューに従うことにした。それは、矢野東というプロゴルファーが、世界を目指すスタートラインに立ったということである。

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