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谷亮子が復活に向け、9年ぶりに母校と復縁。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

posted2007/08/09 00:00

 9月の世界柔道選手権(ブラジル・リオデジャネイロ)女子48kg級代表の谷亮子(トヨタ自動車)が、7月17日から21日まで母校の帝京大(東京都八王子市)で練習を行った。同大卒業の谷が母校で練習をするのは当たり前のことのように思えるが、実は谷は卒業後、一度も帝京大で練習をしていない。'98年の卒業時に学校側は大学院への進学を勧めたが、谷はその要請を振り切って日体大大学院に進学。肩すかしを食った形となった学校側は態度を硬化させ、以来、両者の気まずい関係が続いていた。しかし、今年に入って谷の夫・佳知がオリックスから巨人に移籍したことで、事態は急変。故郷の福岡を拠点としていた谷は都内で練習場所を確保する必要に迫られ、とんとん拍子で9年ぶりの“復縁”がまとまったのだ。帝京大には子供の頃から指導を受けてきた稲田明監督がおり、48kgや52kg級の選手もたくさんいる。7度目の世界選手権制覇を目指す谷にとっては、まさに願ったりかなったりの環境が整ったと言っていいだろう。

 '05年12月に長男・佳亮くんを出産。その後は育児に追われてほとんど練習をする暇がなく、復帰戦となった今年4月の全日本選抜体重別では決勝で福見友子(筑波大)に敗れた。それでも過去の実績で世界選手権代表には選ばれたが、5月に乳腺炎を発症し、7月初めの欧州合宿も風邪による発熱でキャンセルを余儀なくされた。アテネ五輪以降、谷は海外で試合をしたことがなく、今回の欧州合宿で若手の外国勢をチェックするつもりでいただけに、大きな誤算となったのは間違いない。もっとも、帝京大での公開練習では動きもよく、全盛期と同じとはいかないまでもある程度の復調をアピール。稲田監督も「自分のペースで試合ができれば大丈夫」と評価し、首脳陣を安心させた。

 格闘技である柔道において100%の体調で本番を迎えられることはほとんどなく、最後はメンタル面での勝負となることが多い。過去の例からも逆境に立たされた時の谷の強さは際だっており、ある程度調整不足でもきちんと結果を出す可能性は高い。長い間、心のどこかに引っかかっていたであろう母校との対立の構図に終止符を打ち、気分一新、9月に32歳になる谷が再び世界の頂点を目指す。

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