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トレード相次ぐ中、忠誠を貫いた大物。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2008/03/13 00:00

 大物選手のトレードが相次いでいる。シーズン前にミネソタからボストンに移ったケビン・ガーネットに始まり、2月21日のトレード期限を前に、パウ・ガソル(メンフィス→ロサンゼルス・レイカーズ)、シャキール・オニール(マイアミ→フェニックス)、ジェイソン・キッド(ニュージャージー→ダラス)、ベン・ウォレス(シカゴ→クリーブランド)と、オールスター級の選手たちが、次々とトレードによって新しいチームに移った。いずれも、今季のレースを脱落したチームから、優勝争いをする上位チームへの移籍で、これらのトレードで上位チームはさらに力をつけ、シーズン後半戦の上位争いから目が離せなくなった。

 特に西カンファレンス上位争いは混戦だ。2月24日現在、1位から9位までのゲーム差が僅か5.5試合。少しでも負けが込むとあっという間に順位が下がり、下手をするとプレイオフ出場権まで逃しかねないのだから、各チームとも1試合、1試合に熱が入る。まるでプレイオフが2カ月早く始まったかのようだ。

 印象的なのは優勝争いができる強豪チームに移籍した選手たちが、生き返ったように元気にハツラツと、笑顔でプレーしていること。引退までひとつのチームでキャリアを終える忠誠心は美談だが、今の時代、現実的ではなくなってきているのかもしれない。

 そういえば、弱小チームから強豪への移籍を断った“大物”が一人いた。“クリッパー・ダレル”の愛称で知られるダレル・ベイリー、ロサンゼルス・クリッパーズのシーズンチケットを持つ名物ファンだ。自前で作った赤と青のクリッパーズ色スーツを着て、毎試合熱い声援を送っている。

 そんな彼に目をつけたのが、ダラス・マベリックスのオーナー、マーク・キューバン。つい最近、「ダラスに引っ越してマブスのゲーム運営のスタッフに加わらないか」と彼を誘った。

 ダラスまで面接に行ったベイリー氏だが、悩んだ末に、結局辞退。最後はクリッパーズに対する愛情と忠誠心を捨て切れなかったのだという。「応援するチームに対して持っている情熱は変えられない」と、心の内を語る。

 現代NBAから消え去ったと思っていた忠誠心が、ここに残っていた。

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