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悲願のメダル獲得へ。上村愛子は、より逞しく。 

text by

藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

PROFILE

photograph byFuko Lee

posted2005/06/23 00:00

悲願のメダル獲得へ。上村愛子は、より逞しく。<Number Web> photograph by Fuko Lee

 来年2月のトリノ五輪まであと8カ月。冬季競技の選手たちにとって今はオフにあたるが、もちろんのんびり休んでいる暇はない。フリースタイルスキー女子モーグルの上村愛子(北野建設)も5月中旬から始動し、悲願のメダル獲得に向けて順調に調整を続けている。

 上村は'98年の長野五輪に18歳で初出場し、いきなり7位に入賞した。'02年のソルトレークシティー五輪ではメダルが期待されたが、結果は6位。表彰台に上がったのは、長野に続いてまたライバルの里谷多英だった。五輪での思い出は明と暗がくっきり分かれた形だが、上村は「今では若い時にメダルが取れなくてよかったと思える。楽しかったこともつらかったことも、全部ひっくるめて今の自分があるから」と話す。その上で、26歳で迎えるトリノ五輪を「今までで一番自分らしくできる大会」と言い切った。「自分らしく」とは、「スキーが大好きな私がスキーを楽しむこと」にほかならない。

 楽しんで勝てればそれにこしたことはないが、もちろん、容易なことではない。特に「私の一番の弱点は精神面」と言う上村にとって、五輪を楽しむためには絶対的な自信が必要だ。自信を持つためにはきちんとした裏付けがいる。そこで今取り組んでいるのが難度の高いエアだ。昨季から取り組んできた「7O(セブン・オー)」は「80〜90%の完成度」まで来ている。体の軸を倒し込み、縦回転に横回転を加えるこの技は十分にインパクトがあるが、メダルを取るためにはこれだけでは足りない。そこで今挑戦しているのが「ヘリコプター2回転」だ。これまでのヘリコプターは左回りに1回転だったが、これを右回りの2回転に変える。回転数を倍にするためには、より高く跳び、より速く回る必要があるが、試行錯誤の末に左ではなく右のほうが回りやすいことが分かった。まだ練習段階だが、もし完成すれば男子並みの迫力で審判や観客を驚かせることができる。

 里谷が一昨年のシーズンを休養にあてた一方で、上村はこの3年間休みなく戦ってきた。「自分には4年間やっている意地がある」のは当然で、3度目の正直に燃えている。「スタートの時にこれで行けるという自信を持ちたい」。それが実現した時、上村の胸には待望のメダルが輝いているはずだ。

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