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真夏の夢に終わった
シューマッハーの復帰。 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byGetty Images

posted2009/08/21 06:00

真夏の夢に終わったシューマッハーの復帰。<Number Web> photograph by Getty Images

 “アンコールラン”が決まったのは7月29日のことだった。第10戦ハンガリーGPで負傷したF・マッサに代わり、M・シューマッハーの起用をフェラーリが発表。歴代最多7回のチャンピオン、通算91勝を誇る元王者の復帰は、'06年の引退に優るとも劣らない反響を呼び、真夏のビッグニュースとなった。

復帰への意気込みが見えた“自主トレ”。

 マッサのケガが完治するまでの代走とチームはアナウンスしたが、当の本人は8月23日第11戦ヨーロッパGP(バレンシア)に備え、発表の2日後、さっそく“自主トレーニング”を開始した。場所はフェラーリがテスト走行によく使用するムジェロ。今年はシーズン中のサーキットテストが禁止されているため、旧型マシンF2007で個人的にデモンストレーション走行をするという形を取った。

 この時期は全チームが夏休みに入り、すべての業務を停止する申し合わせが確認されたばかりだが、合法的な抜け道として、フェラーリには旧型マシンを専門に整備・販売する部門が昔から存在する。レースエンジニアは伴わず、規定で使用できない'09年仕様タイヤではなくデモンストレーション用のタイヤ(GP2仕様に準じる)を使うといった周到ぶりだった。その後、特例として'09年マシンでのサーキットテストをチーム側が希望したが、これはウイリアムズとレッドブルの反対で実現はならなかった。ブラウンGPを追うレッドブルにしてみれば、シューマッハーの復活でフェラーリが伸びてくると厄介な展開になる。

ドクターストップにより復帰は幻に。

 しかし、他のチームが警戒するほどだったシューマッハーの復帰は、真夏の夢に終わってしまう。8月11、12日に予定されていた2回目のムジェロテストの前日、実戦参加できないと本人からチームに連絡があったのだ。

 彼は今年2月、バイクのテスト中に起こした転倒事故で頭部と頚部を痛め、完治に約3カ月を要している。その“古傷”が当初から心配されていて、専属医らによる検査の結果、F1レースは無理というドクターストップがかかったのだった。この間にもレーシングカートで走り込む一方、理学療法に懸命に取り組んでいたのだが、40歳シューマッハーのラストショーは実現寸前で幻に終わった。一番悔しがっているのは本人、ほっとしたのは妻のコリーナさんだろう。

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