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引退しても終わらない、
競走馬たちの第二の競争。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byKiichi Yamamoto

posted2009/10/14 06:00

引退しても終わらない、競走馬たちの第二の競争。<Number Web> photograph by Kiichi Yamamoto

3番人気のモンテエン。最後の直線で先頭に立ったリリエンタールと競りクビ差で制した

 牡馬たちの評価は、子供たちの活躍だけで上がりもすれば下がりもする。最強馬の名をほしいままにしたシンボリルドルフや、ぬいぐるみが爆発的に売れた希代のアイドルホースとしても名高かったオグリキャップだって、子供が走らなかったことだけで種牡馬失格の烙印を押され、いつしか現役時代の活躍でさえ色褪せて見えてしまったりする。言ってみれば、競走生活で名を成した馬たちでさえ、一生涯競争そのものからは逃れられないのが彼らの宿命なのだ。

“種牡馬レース”はゼンノロブロイが本命か。

 今年、初産駒が競走年齢(つまり2歳)に達した種牡馬たちの争いは、デュランダル(10歳、父サンデーサイレンス)がまずはリードを奪った。小倉2歳S優勝のジュエルオブナイル(牝、栗東・荒川義之厩舎)が孝行娘で、もちろんこれが新種牡馬の重賞勝ち一番乗り。名マイラーだった父の第二の人生にさらなる輝きをもたらしている。

 ドバイワールドCを圧勝したロージズインメイ、凱旋門賞などGIを5勝した馬のバゴといったところも順調なスタートを切っているが、産駒たちが醸し出す大物感ならやはりゼンノロブロイ(9歳、父サンデーサイレンス)が1頭抜けた存在と言っていい。9月13日の中山の芝1800mの新馬戦を勝ったモンテエン(牡2歳、美浦・松山康久厩舎)は、4コーナーを立ち上がったところではちょっと勝てないと思われた位置から、急坂をモノともしない切れ味を発揮して完全に勝ちパターンだった2着馬をねじ伏せた。勝ち時計は平凡でも、こういう勝ち方をした馬は間違いなく大物。騎乗していた内田博幸騎手も「普通の馬には絶対に使えない脚を使ったね」と、奥深い可能性を認めている。

牝馬にも光るサンデーサイレンスの血脈。

 牝馬にも大物がいる。札幌の芝1800mで横山典弘騎手を驚かせるほどの強靭な末脚を繰り出して勝ったシーズンズベスト(美浦・藤澤和雄厩舎)がその馬。2頭に共通して言えるのは、父と同じような新馬戦の勝ち方をしたことで、その特徴をしっかりと受け継いでいるとすると2歳より3歳、3歳より4歳、5歳になってからさらに強くなるのではないかと大きな期待を持たせる。それにしてもサンデーサイレンスの血の力はすごい。エース格だったアグネスタキオンがこの世を去っても、後継馬の波は引かない。

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