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追い風吹くストーナーが
初めて口にした「不安」。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2007/09/06 00:00

追い風吹くストーナーが初めて口にした「不安」。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

 WGP後半戦のスタートとなった第12戦チェコGPで、C・ストーナーが今季7勝目を挙げた。今大会も2位で食い下がったJ・ホプキンスを突き放し、夏休み前のアメリカGPから2戦連続ポール・トゥ・ウィン。タイトル争いをする総合3位のD・ペドロサが4位、総合2位のV・ロッシが7位に終わったことで、念願のタイトル獲得に向けて大きく前進した。

 ストーナーの強さの要因は、ブリヂストン(BS)とドゥカティのアドバンテージを生かす走りにある。ドゥカティのパワフルさは定評あるところだが、今年のBSの進化は、目を見張るばかりだ。強力なグリップがコーナリングスピードの高いストーナーの走りを補完し、それが結果として、ドゥカティの速さを存分に活かすことに繋がっている。

 シーズン中盤までストーナーを追撃した王者ロッシも、12戦を終えて60点差をつけられ、タイトル奪還に赤信号が灯った。残り6戦、BS勢有利のサーキットが多いとなれば、少し気は早いが、ストーナーがタイトルに王手を掛けた格好だ。

 チェコGPもBS勢が1、2位と強さを見せた。しかし、ロッシと同じミシュラン勢のヘイデンが3位、ペドロサ4位となれば、タイヤだけの差とは言えない。天才ロッシはこれまでそういったハンディキャップをことごとく乗り越えてきた。チェコでの低迷には、レース直前に脱税容疑で摘発されたことが精神面で大きな影響を与えたようだ。

 ストーナーに吹く風は、どうやら追い風ばかりである。過去、最高峰クラスでシーズン7勝を上げてチャンピオンになれなかった選手はいない。これからの戦いでの最大の敵は、タイトル獲得という名のプレッシャーになりそうだ。

 ストーナーは思い切りのいい走りを武器にここまで駆け上がってきた。

 「今回は自分にアドバンテージがあると思った。全力で走ったが、ホプキンスを離せず不安になった。引き離せたから良かったけどね。これからもひとつでも多く勝ちたい」

 21歳のチャレンジャーが自信とともに初めて言葉にした、勝利への不安。これが何よりもプレッシャーを感じさせる言葉である。ここからは、失敗が許されないのだから。

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