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佐藤琢磨がトロロッソと契約に
到らなかった深層。 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byTamon Matsuzono

posted2009/02/26 00:00

佐藤琢磨がトロロッソと契約に到らなかった深層。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

 結局トロロッソは佐藤琢磨との'09年レギュラー契約に到らず、2月6日、S・ブルデーの残留が正式に発表された。日本人として過去最高の14戦に入賞し通算44ポイントを上げ、'04年のアメリカGPでフェラーリ勢のM・シューマッハ、R・バリチェロらと対等に争って表彰台3位に輝いた“エース”の復帰はこれで厳しくなった。

 すでに8チーム16人のシートが決定した後の1月9日、トロロッソはまず新人S・ブエミを発表し、もう一人の選択にはずいぶん時間をかけた。琢磨かブルデーか、日本だけでなくブルデーの母国フランスでも注目され、ヨーロッパでも琢磨のほうが優勢という見方が強かったのだが……。発表の際に琢磨“落選”に関するチームのコメントはなく、フランス国内では「持ち込めるスポンサー・フィーで上回ったから逆転契約できた」と受けとめられたようだ。

 昨年5月のスーパーアグリ消滅後、'09年の復帰を目指して複数チームと交渉を重ね、秋にトロロッソのテスト走行に招かれた琢磨。そこで好タイムを出しただけでなく技術陣へ的確なフィードバックコメントをするなど十分な実力をアピールした。しかしその後、世界経済不況がF1界にも押し寄せ、トロロッソはドライバーに〈持参金〉を求める姿勢に変わっていった。琢磨には個人スポンサーはいたが増額出資となると今の国内状況では厳しく、交渉は長引いた。一方のブルデー自身には個人スポンサーすら無かったのだが、1月後半、事態は急変した。

 トロロッソは'07年からフェラーリ・エンジンを“有償リース”して参戦していて、もしその代金が大幅減額となれば、それがそのままチームへの“持参金 ”となる。ブルデーのマネージャーはフランス人で元フェラーリ代表J・トッドの息子N・トッド。このN・トッドはF・マッサのマネージメントもしているほどの関係で、親子は今もフェラーリと太いパイプがある。トッド親子とフェラーリとトロロッソの“連動”によってエンジン代金減額、それをもってブルデー逆転契約成立……、というのが大方の見方のようだ。

 これでは琢磨に個人スポンサーがあっても太刀打ちできない。実力、キャリアがありながら選ばれなかったエースは、それでもまだF1復帰を諦めていない。

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