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'05年のボクシング界を振り返ってみると……。 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2006/01/12 00:00

 世界のボクシング界の'05年をどう総括したらいいのだろう。

 '04年は「スーパースター凋落の1年」と言われたが、'05年は凋落がより決定的となった1年ではなかったか。二流選手ケビン・マクブライドに惨敗し「俺はもうアニマルではない」と自らボクサーであることに引導を渡し引退(たぶん)したマイク・タイソン。天敵サウスポー、アントニオ・ターバーに連敗したロイ・ジョーンズ(引退を拒絶しているが)。プロ入り14年目にして初めて不戦の1年を過ごしたオスカー・デラホーヤ。12年間の不敗記録に終止符を打った40歳のミドル級王者バーナード・ホプキンス。さらにはヘビー級王者ビタリ・クリチコまで引退するに至っては、いよいよ世界リングのスター不足も深刻である。

 '05年はおそらく「失われた好カードの年」としても記憶されるに違いない。クリチコvs.ハシム・ラクマン、そしてルシア・ライカーvs.クリスティ・マーチンの女子ボクシング「最強対決」は、いずれも対戦が決まり、チケットが売り出されながら、直前になってどちらかの選手のケガによりキャンセルとなったものだ。ファンの失望も尋常ではない。

 再三再四ケガに泣かされてきたクリチコだが、まさかこれを理由に引退に踏み切るとは想像もできなかった。興行規模で'05年最大の、そして年間最高試合になったかもしれない一戦は、11月12日挙行の1週間前に中止となった。もしクリチコが無理を押してでもリングに上がっていれば、勝敗を問わず9億円超の報酬が保証されていたのだから、これを放棄して引退に踏み切るとは、手術を受けた右膝はよほどの重傷だったのだろう。

 もうひとつ、映画「ミリオンダラー・ベイビー」のヒットにあやかって企画された「ミリオンダラー・レディー」も、ライカーが練習中にアキレス腱を切って試合10日前に中止された。映画では悪役を演じた「史上最強の女子ボクサー」も、悲運のヒロインのままである。傷が癒えても、仕切り直しの試合ができるのか、ボブ・アラム・プロモーターも触れようとしない。試合ができる準備が整ったとしても、総額「100万ドル」の報酬が払えるような状況下であるかどうか。このまま永遠に「幻のライバル戦」に終わる公算も少なくないのである。

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