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オシム初戦から考える、A代表がもたらすもの。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2006/08/31 00:00

オシム初戦から考える、A代表がもたらすもの。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 新生・日本代表が、トリニダード・トバゴを相手に初陣を飾った。ピッチを広く使い、ボールを動かしながら、次の狙いを持って選手が動く。わずか数日の準備にもかかわらず、「日本らしいサッカー」というオシムの狙いは、十分に感じられた試合だった。そのために必要な選手選考もなされていたように思う。

 この試合と前後して、偶然にも1週間で、U―21、U―19、U―16という3世代の日本代表の試合を見ることができた。そこでは、A代表にも共通する良さ(例えば、技術)や課題(例えば、FWの人材難)が見え、実に興味深かった。それぞれ条件が異なるので、一概に比較はできないが、なかでも、最も日本の持ち味を生かそうとしていたのは、U―16代表である。そのスタイルには、オシムの目指すサッカーに通じるものがあった。

 日本のU―16年代は、身体的成長の過渡期にあり、特にサイズの不利をこうむりやすい。事実、私が見た試合でも、日本の選手は、韓国、クロアチア、チェコの選手に比べ、明らかに小さかった。

 だから、より日本の持ち味を生かさなければ、世界と戦えない、という事情もあるのだろう。U―16代表監督の城福浩も、多分にそのことを意識していた。

 「セーフティにやれ、と言えば、選手たちはできる。だけど、自分たちがリスクを冒さないと、点は取れない」

 と同時に、「やり続けなければ、すぐにリスクを冒せるようにはならない」と、その難しさも痛感しているようだった。だからこそ、「ジェフのサッカーは、日本人が一番生きる」と常々考えていた城福は、オシムへの期待をこう表現した。

 「このチームでもう1年7カ月やっていますけど、その意識を植え付けるためには、僕らが5年やるより、A代表が2カ月やるほうが影響は大きいでしょう」

 つまり、子供たちは眼で見て、いろんなことを吸収する。どんなに理屈を聞かされるよりも、憧れの選手たちがどんなプレーをしているのかを見るほうが、手っ取り早い、ということだ。

 A代表のサッカーは間違いなく、日本サッカー全体に影響を及ぼす。となれば、とりわけ子供たちに、いい習慣づけを促すものであってほしい。新生・日本代表の初陣は、未来の代表選手に与える好影響を予感させるものでもあったと思う。

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