SCORE CARDBACK NUMBER

絶好調の上田桃子が知った1打の怖さ。 

text by

三田村昌鳳

三田村昌鳳Shoho Mitamura

PROFILE

posted2007/11/01 00:00

 上田桃子は、ロッカールームからなかなか出てこなかった。嗚咽が響いていた。まさに「1打に泣く」という言葉があてはまる試合だった。

 10月14日、女子ツアーの富士通レディース最終日。上田桃子は残り3ホールで、2位の横峯さくらに4打のリードがあった。ところが、上田は16番ホールで3パットでボギーとし、横峯は逆にその16番、17番ホールでバーディとして最終ホールを上田と1打差で迎えた。

 上田は80cmのパーパットを残し、横峯は上田が難なく決めるだろうと「優勝は諦めていた」という。ところが上田が、このパットを外してしまった。

 二人のプレーオフでは、もう上田に勝機はめぐってこなかった。プレーオフ2ホール目で第1打を右に曲げると、第3打をバンカーに入れ、脱出に2打を要するなど、心の動揺が見てとれるプレーで横峯に逆転優勝を許した。

 ゴルフは豪快な300ヤードショットを放っても1打。10cmのパッティングも同じ1打。その1打1打を紡いでスコアとなり、順位が決められる。

 球聖ボビー・ジョーンズはこんな言葉を残している。

 「ゴルフという不思議なゲームの中の、もうひとつの不思議なゲーム。それはパッティングだ」

 グリーン上でボールを転がしてカップに入れるだけのパッティングが、勝敗を大きく決めることになる。

 80cmの距離を外してプレーオフに敗退した上田。2位狙いから、一転して勝機がめぐってきた横峯。この80cmが、これほど長く、プレッシャーのかかる距離だとは、まさか上田も想像できなかったかも知れない。2週連続でプレーオフで優勝を逃した上田。勝った横峯も今回上田を破るまで4連敗とプレーオフを苦手にしていた。

 上田と横峯は、今年し烈な賞金女王争いをしている。ともに今季3勝をあげ、獲得賞金は1億円を越えている。横峯は今回の優勝で、1位の上田との差を1270万円とした。

 二人とも21歳。今年の上田の躍進は目覚ましいものがある。今シーズンも残りあとわずか。今回の辛酸が上田をどう成長させるのか。賞金女王争いの行方とともに楽しみである。

ページトップ