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大型補強の巨人軍で坂本勇人が奮闘中。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2008/03/13 00:00

 大型補強が目立ち、このままでは叩き上げの影がますます薄くなってしまいそうな今年の巨人。特に外野はラミレスの加入により、高橋由伸、谷佳知という3人の主軸が揃い、さらには清水隆行、矢野謙次がいる。これでは鈴木尚広、亀井義行、木村拓也に腐るなというほうが無理というものだ。

 それに対して内野は少し様子が違う。二塁の定位置は、3年目の脇谷亮太が十分に狙える位置にいる。遊撃には選手会長に就任しチームを引っ張るはずの二岡智宏がいるが、昨年手術した左ひじの具合がまだ良くないらしい。そこで浮上したのが2年目、19歳の坂本勇人である。

 昨年は4試合のみの出場だったが、9月6日、中日戦の延長12回、センター前に抜ける決勝打を打っている。これは巨人では松井秀喜以来の高卒ルーキーの適時打だった。「スターになる選手は、デビューの時から他の選手とは違う何かを持っているもの」というのはソフトバンク・王貞治監督の持論だが、伊原春樹ヘッドコーチも「積極的な守備は買い」と太鼓判を押している。坂本の存在により、同じ遊撃手、同じ2年目の寺内崇幸と円谷英俊の取り組み方も違う。ノックの時もこのポジションだけは活気に溢れているのだ。

 2月24日、長嶋茂雄・終身名誉監督が訪れたソフトバンクとのオープン戦でも、坂本は2本のヒットを放ちアピールした。それを見た長嶋からは「無駄な力が抜けた構えで、松井のような選球眼を持っている」と賛辞を送られた。この勢いが続けば、ポジションを奪う可能性も出てきた。ある巨人軍OBは、「二岡が戻ってきても、坂本をどこまで使い続けられるかで原監督の力量が問われる」と言った。

 エリート揃いの巨人内野陣にあって、意外に叩き上げが多いのがこの遊撃のポジションだ。V9時代は黒江透修が守り、その後も篠塚和典、川相昌弘と高卒の選手が続いた。「自分をアピールするのが好き」という坂本の性格も、大人しいチームにあって目立つ。加えて兄貴分の阿部慎之助に可愛がられていることもレギュラー獲りには有利となるだろう。

 豪華メンバーが並ぶスコアボードに、ひとり2年目の遊撃手が割り込めば、巨人の懐の深さを示すことになるとも思うのだが……。

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