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五輪に欠けた一輪の花シャラポワに大注目! 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2004/08/26 00:00

五輪に欠けた一輪の花シャラポワに大注目!<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 アテネ五輪が開幕した。聖火は、108年ぶりに第1回開催地のアテネに戻った。第1回から五輪競技だったテニスにとっても、途中、13大会も中抜けがあるとはいえ、五輪発祥の地に戻る記念すべき大会となった。「歴史的な大会に出場できることは嬉しい」という杉山愛も、アテネだからこそ出場に踏み切った部分もあった。しかし、テニスの場合、シングルスで1カ国最大4人の出場枠や、国内オリンピック委員会の派遣行事という五輪規定のため、通常のツアーとは出場できる選手が異なる。出場したい選手が出られなかったり、出場できても出なかったりと、五輪が最大の舞台である他の競技からすると、信じられないことが起きる。

 今大会には、一輪の花が欠けている。ウィンブルドン優勝者のマリア・シャラポワだ。シャラポワは、最新世界ランク8位(8月9日現在)。しかし、彼女は五輪に出場したくとも出場できない。出場資格の基準となった世界ランクは6月14日付けで、ウィンブルドン開幕前だった。その時点で、シャラポワはロシア選手として6番目に位置し、五輪の出場資格を逃した。現在ならミスキナ、デメンティエワに次いで3番目。五輪当確となるため、ウィンブルドン以降、救済措置を求める声が相次いだ。しかし、例外は認められなかった。

 ただ五輪に出場できなくとも、今年のテニス界で、シャラポワが大きな注目を集めることは間違いない。モデルも兼ねる才色兼備(?)。ロシアの小さな町の生まれで、父親が仕事を求めて転々とした境遇や、世界的エージェントであるIMGが、才能を見込んでロシアから米国にテニス留学させた話など、話題には事欠かない。コート上でも、1球ごとに甲高い叫び声を上げながら強打するプレーは迫力満点だ。歴史に名を刻む新たなヒロイン誕生の要素は十分である。

 まだ17歳ながら、ウィンブルドンに優勝した精神力は強靭だ。五輪に出場できないことも「私はまだ若い。次の北京まで4年なんてあっという間」と笑い飛ばす。ウィンブルドン優勝の会見では「何度も勝ちたい。4大大会を全部取っちゃいたいわ」と屈託がない。怖いもの知らずといえばそれまでだが、ヒンギスが若くして戦線離脱した女子テニス界にとって、願ってもいない次代のスーパースターが生まれたようだ。

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