SCORE CARDBACK NUMBER

ポルトガルの地で見た
フッキのプレーに思うこと。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byUniphoto Press

posted2009/10/12 08:00

ポルトガルの地で見たフッキのプレーに思うこと。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

9月12日のレイショエス戦でのフッキ。ポルトはこの試合に4対1で快勝、現在3位をキープ

 水曜日のガーナ戦を最後に、日本代表のオランダ遠征取材を終えると、週末はポルトへ足を運んだ。昨年3月のJ1開幕戦以来となる、フッキのプレーを生で見るためである。

「日本では2部リーグでプレーしていたようだが、ここではもうスターだよ」

 スタジアムの記者席でそう教えてくれたのは、地元スポーツ紙「オ・ジョーゴ」の記者、ペドロ・コスタ氏である。

 日本にいたときは自分勝手なプレーばかりで、チームメイトが大変だったんだけど……。私がそう言うと、「それはここでも同じだ」と、彼は苦笑いした。

異分子を排除せずに取り込む、名門ポルトの度量。

 しかし、この日の試合を見る限り、フッキにJリーグのときのような身勝手さはなかった。特に、ペナルティエリア内のシュートチャンスでのこと。すでに自らPKで1点を取っていたとはいえ、中央で待つファルカンへパスし、ゴールをプレゼントしていたのには驚いた。

 そんな感想をコスタ氏に伝えると、「点差もあったし、無理をして削られたくなかったんじゃない? 3日後にはビッグマッチ(チャンピオンズリーグのチェルシー戦)があるし」と茶化しながらも、これまでの経過を話してくれた。

 ポルトに入ったばかりのフッキは、とにかくボールを欲しがり、自分のエゴを丸出しにしていたという。加えて、少しでも判定が気に入らなければ、審判に食ってかかり、カードをもらうこともしばしば。そんなフッキを見かねて、チームメイトはこう諌めたのだそうだ。

「お前ひとりでサッカーをやっているわけじゃない!」

 世界一に2度輝いたポルトガルの名門クラブは、フッキという異分子を排除してしまうのではなく、実力を認めた上でチームに取り込もうとした。すると、フッキは次第に、チームのなかでプレーすることを覚えていったという。

オランダで飛躍したあの“異分子”を日本代表は使いこなせるか。

 フッキは変わったと思うか。

 そう尋ねると、わずかな間も置かず、コスタ氏からは答えが返ってきた。

「A lot(すごく変わったよ)」

 すると、ふいに数日前のオランダでの出来事が思い出された。

 彼の地で成長を遂げた異分子は、フッキほどにアクの強いものとは思えない。その取り扱いの巧拙は、受け入れる側の器の大きさを表わしている気がした。

■関連コラム► 岡田ジャパンの課題明確に。テーマは「さぼり」と「リズム」? (09/09/07)
► 川崎F開幕戦で見えた夢の3トップの問題点。 (08/04/03)

関連キーワード
フッキ
FCポルト
欧州チャンピオンズリーグ

ページトップ