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ファン不在のなか進む接触事故の不毛な議論。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2004/11/04 00:00

 シーズンも大詰めである。ただ全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの状況を現時点で語るのは難しい。というのも現時点でシリーズ第6戦(美祢)の結果が暫定となっており、優勝者が確定していないからなのだ。

 問題の事件はレースの最終ラップに起きた。ピットストップをせずに走りきる作戦を選んだリチャード・ライアンが首位、1回ピットに入りタイヤを交換してハイペースで追い上げたブノワ・トレルイエが2位だった。ペースは明らかにトレルイエが速く、ライアンは必死にブロックしながらフィニッシュしようとした。しかし最終ラップの第1ヘアピンでトレルイエがライアンのインに飛び込み、それを押さえ込もうとしたライアンのマシンと接触してしまった。

 ライアンのマシンははじきかえされて横転、トレルイエはそのまますり抜けてトップでチェッカーを受け仮表彰された。しかしその後ライアンのチームから抗議が出され、審議の結果トレルイエは1周減算のペナルティを受けて7位へ後退した。だがこの裁定に対して今度はトレルイエのチームが控訴し、結局JAFのモータースポーツ中央審査委員会による審議結果を待つことになった。

 確かに、2車の接触は見た目が派手で、ライアンが深刻な負傷を受けずに良かった、と胸をなでおろした。だがアクシデントそのものを考えたとき、果たしてトレルイエに1周減算に値する非があったかどうか。わたしはトレルイエは見事な闘争心をもって正当なレースをしたと見た。敢えて接触の原因をあげつらうならば、トレルイエの攻撃は強引だったかもしれないが、明らかに不利な立場でそれを押さえ込もうとしたライアンも強引であり、責任はある。

 この事態をつかまえて、犯人を特定しペナルティを科すというのであれば、今後レースは成立しなくなる。接触事故は避けられるべきであることに違いはない。だが、彼らが繰り広げているのはプロフェッショナル・イベントであり、それなりの見せ方があるはずだ。しかも一般ファンは、いまだに正式結果を示されないで放置されている。シーズン終盤戦に向けてイベントのプロモーションは行われているが、事態が見えないまま一体何を眺めに来いと言っているのだろう。

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