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崖っぷちでの善戦を、今後にどうつなげるか。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2005/08/04 00:00

崖っぷちでの善戦を、今後にどうつなげるか。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 女子国別対抗戦のフェド杯と男子国別対抗戦のデ杯で、戦前の劣勢の予想を覆し、日本代表が地元開催でともに勝利を手にした。フェド杯は、浅越しのぶ、杉山愛という上位2選手を欠きながら、元世界4位のマレーバ、今年の全仏ベスト8の15歳カラタンチェバを擁するブルガリアに4―1で快勝。世界グループ2部残留を決めた。デ杯は、ベストメンバー同士の戦いで、エースの鈴木貴男が奮闘し、元世界9位のスリチャパンが率いるタイを破った。日本はアジアオセアニアゾーン・グループ1部残留となった。

 男女ともに日本が劣勢の予想を覆して勝った経験はほとんどない。フェド杯が有明コロシアム、デ杯がなみはやドームという地元開催だったこともあるが、勝利に貢献した選手やスタッフの努力を素直に評価したい。特に、単複3勝を挙げたフェド杯の森上亜希子、デ杯の鈴木は見事にエースの役割を果たした。また、フェド杯の植田実監督、デ杯の竹内映二監督は、ともに今季から就任し、嬉しい監督初勝利となった。

 しかし、喜んでばかりはいられない。ともに残留をかけたプレーオフでの勝利。フェド杯はチェコに、デ杯は台湾にともに初戦で敗れており、崖っぷちに追い込まれての勝利だった。フェド杯は、頂点の世界グループ1部復帰に、赤土のコート対策が欠かせない。現在、上位の国は、ほとんどが赤土を得意としており、敵地開催となった場合、日本の苦手な赤土が舞台となる。デ杯は、ベテランの鈴木、本村剛一主体のチームで、若返りが急務だ。また、常に大阪開催となるデ杯だが、最初の2日間は2000名の観客も入らず、コートにはスコアボードがない、メディアには資料がないなど、運営の点でも疑問視される。

 日本テニス協会は、今季、ナショナルチームという呼称で、組織の中で代表部門を完全に独立させた。元フェド杯監督の小浦武志氏がGMに就任し、デ杯、フェド杯、五輪の3本柱を強化の中心に置いた。テニスは基本的にツアーを中心とした個人スポーツだが、底上げには協会のバックアップも欠かせない。個人と代表の強化が一体となり、男女ともに早く世界の頂点で戦ってほしい国別対抗戦である。

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