SCORE CARDBACK NUMBER

自在のピット作戦が跳ね馬独走を支える。 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byHiroshi Kaneko

posted2004/07/29 00:00

自在のピット作戦が跳ね馬独走を支える。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 第11戦イギリスGPで今季10勝目、計100ポイントのM・シューマッハー。後半戦に入った7月の2連戦も予選2位、4位からの逆転勝ち。第8戦カナダGP以降ポールポジションはないが、あまりそれにこだわらず、レースで自由自在に攻めてくる。フェラーリのレースストラテジー、ピットストップ作戦が面白いように決まるのだ。“逆転の方程式”といおうか、フランスGPでは11周目、29周目、42周目、58周目と4回、イギリスGPでは15周目、37周目と2回ピットイン。ライバル・チームがセオリー通り3回作戦で動いたのに対し、フェラーリ・チームは多くしたり少なくしたり、柔軟に幅のある作戦をとって勝利をもぎとった。

 こうした動きがとれるのも、敵のペースを見抜き、自分たちとの速さの違いをしっかりと把握しているから。フランスでの相手はルノーのF・アロンソひとり。イギリスでは復活マクラーレン・メルセデスのK・ライコネンだけだった。ここで見逃せないのは、どちらもチームメイトが遅れてしまって1対2になっていること。M・シューマッハーとR・バリチェロのチーム戦略を分け、攻めのエースと守りのナンバー2の波状攻撃を、アロンソもライコネンもまともに食らっていた。

 今シーズンが予想以上にM・シューマッハー独走で進んでいる理由、それはとてもシンプルだ。フェラーリはPPを奪われても、常に2台で立ち向かっていける。追う側のルノーはレースによって、アロンソかJ・トゥルーリ1台になるパターンが多かった。B・A・R・ホンダもそう。J・バトン孤軍奮闘、アメリカGPでは佐藤琢磨が表彰台に上がったが、やはり“1対2”の構図は崩れなかった。ウイリアムズ・BMWもマクラーレン・メルセデスも、前半はマシン戦力が不安定なうえに、R・シューマッハーの負傷欠場事故も起きてしまった。これでは追いつけない。

 まるで世界がフェラーリを中心に回っているかのような展開。そしてそのまさに“芯”として存在するのがM・シューマッハー。通算80勝を第11戦でクリアし、自身の持つF1年間最多勝記録('02年、全17戦で11勝)をいくつ上乗せできるのか。逆にひとつでもふたつでもシューマッハー・ブロックに成功したチーム、ドライバーが出現したら、それだけでニュースだ。

ページトップ