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メジャーに忍び寄る、“格差社会”の現実。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2007/12/28 00:00

メジャーに忍び寄る、“格差社会”の現実。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 このオフ、ストーブリーグ最大の関心事といえば、トレード市場に出されたヨハン・サンタナの動向だ。ところが、その激しい争奪戦をあざ笑うかのような動きをタイガースが見せた。6人の有望若手を放出し、マーリンズの投打の柱、ドントレイル・ウイリスとミゲール・カブレラを釣り上げたのだ。すでにブレーブスから走攻守の三拍子が揃ったエドガー・レンテリアを獲得しているタイガースにとって、'84年以来遠ざかっている世界一の夢が大きく膨らむ会心のトレードといえるだろう。

 このトレード成立で、ハイレベルな戦いを繰り広げているア・リーグ中地区の争いはますます面白くなるに違いない。しかし一方では、リーグ間の実力格差が一段と進むのではないかという懸念が、メジャー球界に広がっている。

 タイガースのトレードが、まさにその典型なのだが、この数年、ナ・リーグのビッグネームがア・リーグに移るケースが目立っている。強打のウラジミール・ゲレーロ、20勝投手のジョシュ・ベケット、ヤンキースの3番ボビー・アブレイユ……とその例は枚挙にいとまがない。また、一度はナ・リーグに移籍しながら出戻ったジム・トーミー、アンディ・ペティットらもいる。結果、人材が流出したナ・リーグの実力が低下し、逆にア・リーグの各球団が軒並み底上げをしてきているのが現状なのだ。

 実際、オールスターゲームではア・リーグが1引き分けを挟んで10連勝しているし、ワールドシリーズも過去4年で3勝1敗。インターリーグ(交流戦)の成績をみても、この3年間の通算ではア・リーグが427勝329敗と大きく勝ち越している。

 格差社会を反映するかのような現象にはいくつかの要因が考えられるが、とりわけ大きいのは、エスカレートする一方のヤンキースとレッドソックスの激しいライバル関係だろう。両チームの大物獲得合戦の中で、他のア・リーグ球団も対抗上アップスケールな補強を迫られる。また、イチロー、松井秀喜、松坂大輔といった超一流の日本人選手が集中したことも、格差が拡大する要因になっているのかもしれない。

 サンタナを奪うような元気のいいナ・リーグ球団があればいいのだが──。

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