SCORE CARDBACK NUMBER

「4大スポーツ」終焉!?思ったより深刻な事情。 

text by

渡辺史敏

渡辺史敏Fumitoshi Watanabe

PROFILE

posted2005/03/03 00:00

 北米プロ・アイスホッケーリーグNHLの今季全日程中止が決定された。原因は厳格なサラリーキャップ制の導入を図るオーナー側と反対する選手会の対立によるもの。

 MLB、NBA、NFLと並び4大アメリカ・プロリーグの1つに数えられるNHLだが、近年人気は低下しており、残り3つのリーグから完全に引き離された形になっている。テレビ中継の視聴率も低迷し、放送契約も思うようにならず主要な収入源である放映権料が低迷する状況が続いていた。

 このため赤字経営のチームも多く、セネターズやセイバーズのように破産したチームまで続出した。オーナー側は状況の打破には厳しいサラリーキャップ制の導入しかないと主張し、ロックアウトを実施、試合が開催されないまま労使交渉が続いていたが、結局同意には至らず今回の決定となったというわけだ。

 交渉開始前からオーナー側の決意が固いことは明白で、シーズン中止は早くから噂されていた。実際、昨シーズン終了後ロックアウトを見越して、コスト削減のため、職員の大半をリストラしたチームも多かったのである。

 対する選手会側だが、導入は受け入れたが額などで紛糾。強硬姿勢を崩さずにいられるのは、アメリカのメジャー・プロリーグの選手会ではこうした事態への資金をあらかじめ準備していることが背景にある。組合加入選手たちを十分保証する力があるから、対等に、安易な妥協をせず交渉できるのだ。

 さらにアイスホッケーは、ヨーロッパやアメリカを中心に他にもリーグがあり、ヨーロッパ出身選手が多いという事情も選手たちに有利だ。シーズン中止時点で、一時的にヨーロッパでプレーしているNHL選手は半数以上の379人。徹底抗戦できる下地がある。

 では今回の中止に対して北米のファンがどうみているかというと、冷ややかというのが正直な印象である。MLBなどの経験からこの種の労使交渉が金持ち同士の争いという印象がすり込まれていることも大きいが、それ以上に問題なのは前述の人気凋落という背景。ただですら関心が落ちていたのに、今回のゴタゴタですっかり興味を失ってしまった人が多いのである。このままいけばリーグそのものの崩壊につながるのでは――そんな声が現実味を帯びつつある状況なのだ。

ページトップ