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ユース世代に見た、“モノマネ”の大切さ。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2007/01/25 00:00

 年末年始は高校選手権をはじめ、中高生の大会を見て回るのが恒例行事だ。毎年のことだが、みんなうまくなったなぁと思う。頭抜けた選手がいないとの指摘は事実だが、総体的なテクニックのレベルは確実に上がっている。

 とりわけ、“抜き技”が多彩になった。もはや連続シザースどころか、ジダン得意のルーレットも当たり前。ピッチ上のあちこちで選手が回っている。永畑祐樹(神村学園)などはその代表で、ほれぼれするようなボール扱いを見せてくれた。

 テレビを通じて、これだけ映像が溢れるようになれば、彼らがそれに影響を受けないはずがない。要するに、モノマネである。これを、イメージトレーニング、と言っていいのかどうかは分からないが、世界トップレベルのプレーを見ることで、中高生がプレーのアイディアを増やしていることは間違いない。

 翻って、ゴール前ではどうだろうか。相手を抜いたり、チャンスを作ったりすることにかけては、多くのアイディアを持つ彼らも、ことシュートに関しては、それが俄然乏しくなる。彼らはシュートチャンスで途端に硬くなり、ビックリするほど情けないシュートで終わったりするのだ。あれほど上手に抜き技は真似るのだから、もっと“決め技”にも触発されていいと思うのだが……。

 と、思い出したのは、先月24日に行われたJユースカップ決勝である。

 1点リードの広島ユースは終了直前、逆襲からFW平繁龍一が左サイドをドリブルで突進。ペナルティエリア手前で中央に向かうと、背後を追い越して行ったFW中野裕太へパス。中野は難しい角度にもかかわらず、体を開き、冷静に右足でシュートを決めたのである。ダメ押しのそのゴールは、昨年のW杯準決勝でのデル・ピエーロのゴールを、細部まで忠実に再現したかのようだった。

 試合後、殊勲の中野は言った。「シュートの瞬間、ワールドカップのゴールが頭に浮かびました」。そう、シュートシーンもまた、やはり彼らのイメージに訴えかけてはいるのである。抜き技も悪くない。だが、もっともっとシュートシーンに影響を受け、決め技も真似てほしい。

 中高生がシュートのアイディアを増やすことは、いずれ日本代表の決定力不足解消策にもなるはずである。

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