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鳴り響く“ニッポン・コール”の中、
日本代表が見せた新たなステップ。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/03/30 12:35

鳴り響く“ニッポン・コール”の中、日本代表が見せた新たなステップ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「がんばろう ニッポン! サッカーファミリーのチカラをひとつ!」とプリントされたTシャツを着た日本代表選手たち。シャツには、一人ひとりの手書きメッセージも添えられている

 寒風が吹きすさぶなか、大観衆で埋め尽くされた大阪長居スタジアムは試合が終わっても被災者に向けられた“ニッポン・コール”が続いていた。

 鮮やかなゴールを決め、復興への願いをこめたカズダンスを披露した三浦知良は、試合後マイクの前に立ち、声を張り上げた。

「(自分のゴールは)みんなの気持ちがひとつになったゴールでした。サッカー界全体で、いい形でチャリティーマッチができました。(自分たちの思いは)きっと東北の皆さんに届いたと思います!」

 筆者はこのチャリティーマッチが正式に決定する前、開催に否定的な考えを持っていた。被災者の心情を考えるならば災害から1カ月も経たないうちに、大きなスポーツイベントが行なわれることに違和感を覚えていたためである。いくら関西での開催とはいえ、電力を消費してナイターで試合をやることに理解が得られるのか、顔見せ的な“花試合”のような雰囲気になってしまわないか、という懸念も持っていた。

参加したすべての選手たちの気持ちを代弁した本田の言葉。

 だが、このチャリティーマッチに間近で触れ、その否定的な考えは徐々に消えていった。義援金を含めた日本サッカー界をあげての復興支援、啓発活動もさることながら、被災地に希望の灯をともしたいという選手たちの思いが十二分に伝わってきたゲームだったからだ。

「どう受け止められるかは分からないですけど、きょうは全力でプレーすることだけでした」

 本田圭佑の言葉が、この試合に参加したすべての選手たちの気持ちを代弁していた。

 そしてアルベルト・ザッケローニは「試合内容より、こうしてみんなが集まって、一丸となって何かをする大切な一日でした」とチャリティーマッチの意義を強調したうえで、復興への願いを口にした。

 さて、日本代表のこの日の試合内容について話を移していくことにしよう。

 アルベルト・ザッケローニは就任後初めて試合のスタートから3バックを採用して、自身の代名詞ともなっている3-4-3で臨んだ。わずか3日間という短い期間ではあったものの、アジアカップ前の大阪合宿やアジアカップ中でもトレーニングを積んでいたとあって連係はスムーズだったと言える。

【次ページ】 選手の個性を活かしたザック流3-4-3の特徴とは?

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