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天皇賞前哨戦で武豊が見せた意地。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byShuhei Okada

posted2005/10/27 00:00

天皇賞前哨戦で武豊が見せた意地。<Number Web> photograph by Shuhei Okada

 「ゼンノロブロイ、天皇賞は横山典弘」という報道を、武豊騎手はフランス滞在中に知らされたという。インターナショナルSでロブロイに騎乗してからまだ1週間が経ったかどうかという生々しい時間帯。「結果は2着だったけど、いい競馬だった。でも、ジョッキーは勝たなければ評価されないのかと、改めてそう思いましたね」と、そのときの気持ちを静かに振り返った。

 藤澤和雄調教師の心境も想像できる。天皇賞まで乗ってもらったとしてもJCでディープインパクトとぶつかれば、そこで天秤にかけられる。こちらを選んでくれればいいが、向こうに乗ると言われたときの悔しさを考えれば、こちらから先に動いたほうがいい。天皇賞は横山に乗せて、JC、有馬はケント・デザーモ。早々と発表してしまったのは、そういう意味合いが含まれていたように思う。

 しかし、戦略として考えると、武豊騎手を早めに敵にまわしてしまったことのマイナスも小さくない。天皇賞の騎乗予定が急に宙に浮いてしまった武豊だって、ロブロイの天下統一をだまって見ているはずがないからだ。

 前哨戦の毎日王冠と京都大賞典の水面下の駆け引きが面白かった。当初、武豊騎手はメイショウカイドウで東京に出向く予定だったはずだ。「今のあの馬の強さは、決して小倉限定ではないと思うんですよ」と言うのだ。しかし、最終的に京都に残ってリンカーンに乗ることになった。「GIに向かうとなると、なにかもう一味足りない」と首を傾げていたのに、なにか変化を感じたからだろう。

 結果は武豊騎手のジャッジが正解。遅いペースにもしっかり折り合ったリンカーンは、今までならもたついていた4コーナーで素早く先行馬に取りつく脚を使い、最後の競り合いも余裕で制して勝ちきった。もちろんジョッキーは満面の笑みで、「これならオーケー! この馬で天皇賞に行きます」と、その時点でロブロイに挑戦状だ。ちなみに幸騎手が乗ったメイショウカイドウは、速い馬場に対応できずに不完全燃焼の14着に終わった。

 リンカーン(栗東・音無秀孝厩舎、牡5歳)は、ゼンノロブロイと9回対戦して4勝5敗という隠れたライバル。そのうえ、鞍上は本気モードの武豊。最大の刺客として浮上だ。

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