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国内では強かった東京。さあ、国際舞台では……。 

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藤山健二

藤山健二Kenji Fujiyama

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posted2006/09/28 00:00

 2016年夏季五輪の国内立候補都市に選出された東京都が、早くも精力的な動きを見せている。日本オリンピック委員会(JOC)の選定委員会でライバルの福岡を破った翌8月31日には、石原都知事自らが小泉首相と安倍官房長官に協力を要請。JOCの竹田恆和会長とも会談し、招致のための新たな組織を早急に立ち上げることなどで合意した。日本体育協会からも全面協力を取り付けるなど、文字通り一大国家プロジェクトとしての形が整いつつある。

 東京が福岡との招致合戦に勝てたのは、ひとえに「知名度」によるところが大きい。純粋に開催計画だけを比較すれば、博多湾を囲むように3つの会場群を配置した福岡の方が、半径10km圏内に競技会場の大半を配置するとした東京の計画より完成度が高かったのは事実だ。だが、今回の国内選考に当たってJOCが最重要視したのは、あくまでも「どちらが国際招致合戦に勝てるか」だった。'04年のアテネ、'08年北京、'12年ロンドンと近年の五輪はすべて世界的に有名な大都市が招致合戦を勝ち抜いている。国際的な「知名度」は今や必須条件であり、極論すれば戦う前から勝負はついていたといっても過言ではない。

 では、このまま「知名度」だけで国際招致合戦にも勝てるかといえば、答えは「NO」だ。なぜなら、国際舞台では今度は東京が福岡と同じ立場に置かれることになるからだ。五つの輪が示している通り、4年に1度の五輪はできるだけ多くの大陸で行われるのが理想とされる。'00年のシドニーはオセアニア、以後欧州、アジア、欧州と続き、'16年大会は'96年のアトランタ以後開催のない北米が有力視されている。米国内ではすでにサンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴが立候補を表明しており、どこが選ばれても「勝って当然」の状況にある。米国以外にも南米やアフリカなど初開催を目指す都市があり、いずれも東京より有利な立場にあると言っていい。そんな不利な状況を覆すことは、東京の「知名度」をもってしても至難の業だろう。

 '16年大会の開催地は'08年6月に各国の候補を5都市に絞り込んだ上で、'09年10月のIOC総会で決まる。戦う前から劣勢の東京が今後どんな挽回策を打ち出すのか。石原都知事の手腕に注目したい。

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