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ブラジル代表を率いるパレイラとドゥンガの違い。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2006/11/09 00:00

 ドゥンガが監督に就任してから、ブラジルが絶好調だ。初戦こそノルウェーに引き分けたものの、その後はアルゼンチン戦を含めて4連勝。ドイツW杯では情けない姿をさらしたセレソンだが、カナリア色の輝きを取り戻しつつある。いったいドゥンガと前任者のパレイラには、どこに違いがあるのだろう?

 監督が交代しても、レギュラーの座を守り続けているDFフアンは言う。

 「パレイラも決して悪い監督ではなかったけど、権威的なところがあった。それに対してドゥンガは、セレソンの中心として活躍してきただけに、選手の気持ちがよくわかる。落ち込んでいる選手がいても、気持ちを汲み取って、やる気を起こさせるのが抜群にうまい」

 24歳でフィットネスコーチになったパレイラに対して、ドゥンガは36歳で引退するまでW杯に3度出場し、'94年には優勝を果たした。百戦錬磨の元セレソンとして、選手の悩みが自分のことのようにわかるのだ。

 ドゥンガは監督に就任したとき、選手の前でこう演説した。

 「私は'90年W杯で優勝できなかった悔しさを、'94年W杯にぶつけてトロフィーを勝ち取った。オマエたちも、今年の夏の悔しさを2010年の南アフリカ大会にぶつけてみろ!」

 磐田時代にドゥンガは同僚から恐れられていたことをフアンに教えると、「それはオレたちも、いっしょだ」と彼は大笑いした。

 「オレも含めてブラジル人選手は、基本的におとなしいんだ。ジーコもそうだろ?でも、ドゥンガは全く別のタイプなんだ。怒鳴りつけるなんて当たり前。それが選手の慢心を消し、成長を助けてくれる」

 当初は監督の経験がないことを危惧されたが、シュツットガルト時代の同僚であるブッフバルトが「彼は現役のときから、監督の役割を担っていた」というように、何をすべきかはすでにわかっている。3年前にパレイラがホテルを全て1人部屋にしたのに対して、ドゥンガは「大家族が、ブラジルの原点だ」と言って2人部屋に戻した。

 戦術を武器にする監督が増えている最近のサッカー界で、“気合”を武器にして、どこまで突き進めるのか楽しみになってきた。

■関連コラム► ブラジル代表密着記 「ドゥンガが吼え、ロビーニョが笑う」 (2007年7月26日)
► ドゥンガ 「緻密さと総合力の融合こそ強さの秘密」 (2005年12月22日)

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