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18歳の心意気は、世界への道を切り開くか。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2006/05/25 00:00

18歳の心意気は、世界への道を切り開くか。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 日本女子に、また新星が誕生した。5月の第1週に岐阜で行われたカンガルーカップ(賞金総額5万ドル)で、18歳の高雄恵利加がチャレンジャー大会に初優勝した。決勝では日本No.2で、先の女子国別対抗戦フェド杯世界グループ2部対スイス戦で日本勝利の原動力となった中村藍子にフルセット勝ち。大会が世界ランキングのかかったチャレンジャーシリーズとなって以来、5人目の日本人チャンピオンとなった。最新の世界ランキング(5月8日付)では、前回から60位以上もジャンプアップ。自己最高の213位となり、4大大会予選に出場が可能な100位台も目前となってきた。身長150cmと、日本人の中でもひときわ小さい。そのため、これまで体力の弱さが指摘されてきた。しかし、カンガルーカップでは優勝までの5試合すべてフルセットの激闘を戦い抜き、見事にタフなプレーを見せた。

 高雄のコーチは長塚京子だ。長塚は、現役時代、世界28位となり全豪ではヒンギスに勝った経験をもつ。その長塚の最初の教え子が高雄だった。数年前、コーチに成り立ての長塚を取材した時、「いい子がいるんです。とにかく元気でがんばり屋。期待して欲しい」と紹介されたのが高雄だった。長塚の言葉通り、高雄は着実に成長を遂げるが、後輩の森田あゆみらの陰に隠れ、なかなかスポットが当たらなかった。しかし、'04年9月、渋谷幕張高(千葉)を2年で中退しプロ転向に踏み切る。長塚コーチは、とりあえず高校卒業を勧めたが、高雄の意志は固かった。一刻も早く世界への道で勝負したかったのだろう。退路を断つことで、人生すべてをテニスに賭けたかったのだ。プロ転向以来、彼女の世界ランキングはうなぎ登りだ。

 決してあきらめない性格で、ハードヒットするストロークが武器だ。確かに、女子もパワーテニスが全盛の現在、身長の低さは有利とは言えない。しかし、カンガルーカップ決勝で倒した中村は世界61位。つまりトップ100の実力は、十分に備えているのだ。ダメ元で、6月のウィンブルドン予選には挑戦したいという。その心意気こそ、彼女の体格のハンディを吹き飛ばし、世界への道を開くだろう。小柄な日本選手でも世界で戦えることを高雄には証明して欲しい。

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