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<監督とチームメイトに聞く> 長友は世界一のサイドバックになれるのか? 

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豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byGetty Images

posted2011/04/05 06:00

<監督とチームメイトに聞く> 長友は世界一のサイドバックになれるのか?<Number Web> photograph by Getty Images
世界一のクラブに入ったあとは、個人としてもNo.1を目指す。
どこまでも上を狙い続ける男の野望は、果たしてかなうのか。
前所属のチェゼーナとインテル、それぞれの指揮官と仲間に
忌憚なく語ってもらった。

 1月最後の日、ひとりの小さなサイドバックがインテルのユニフォームに身を包んだ。

 昨季欧州CLを制したチームへの日本人選手の移籍は、日本だけでなく欧州中で話題となる。それは長友佑都が世界一のクラブに足を踏み入れた瞬間だった。

 目を輝かせ、そして長友は言う。

「世界一のサイドバックになる」と。

 目を見張るステップアップを果たし、凄まじいスピードでキャリアを駆け上がっている長友を、現地はどう見ているのか。彼は本当に世界一のサイドバックになることができるのか――。

 チェゼーナ駅から車を飛ばし、広大なブドウ畑をいくつか抜けたところに、長友が半年間を過ごした場所がある。

 クラブハウスとされる小さな小屋で、監督のマッシモ・フィッカデンティはエスプレッソを片手に話し始める。彼は世界的にはまったく無名だった長友にいち早く注目した人物だった。

「2008年にFC東京の試合を見たんだ。クラブの強化部長、立石敬之氏とは仲良くさせてもらっていてね。驚いたのはその身体能力だ。サイドの上下動を何度繰り返してもスピードは落ちず、攻撃参加の回数も信じられないほどだった。あのスタミナと俊敏性は、イタリア人サイドバックが持たないものだった」

「世界一になりたい、というのは聞いているよ。ただな……」

 彼は2010年の夏に長友をレンタル移籍で獲得すると、それからの半年間で様々なことを教えていく。イタリアの守備組織と、その中でサイドバックに求められるもの。いずれも日本のそれとは大きく違った。

チェゼーナでは、セリエA開幕から16試合連続フル出場を果たし、チームの主軸として活躍した

「もともとフィジカルはこちらでもトップクラスだった。私はそこに守備面でのポジショニングと攻撃参加のタイミングなどをアドバイスしていった。彼はそれをすぐに吸収したよ。驚くべきスピードでね。そして半年あまりで、ひょいと世界一のクラブに移籍だ。これには私も含め多くの人が驚いたね」

 長友は世界一のサイドバックになれるのか――。そんな命題に恩師はこう答える。

「世界一になりたい、というのは聞いているよ。私は彼の能力を誰よりも評価しているし、だからこそイタリアへ連れてきた。ただな、まだ現時点では世界一じゃない。彼の前には多くのサイドバックがずらりと並んでいるんだ。インテルのマイコンにハビエル・サネッティ、そしてバルセロナのダニエウ・アウベスら、世界には多くの優れた同業者がいる。しかしナガトモはそのレベルに到達できるだけのポテンシャルを秘めている。いつかそうなる日も来るだろうね」

【次ページ】 イタリアサッカーにスムーズに溶け込んだ適応力。

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