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男子ダブルスで快挙!
鈴木・岩渕組が見せた意地。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

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photograph byHiromasa Mano

posted2005/10/27 00:00

男子ダブルスで快挙!鈴木・岩渕組が見せた意地。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 ツアー公式戦のAIGオープンで、鈴木貴男、岩渕聡の男子ダブルスが優勝した。日本男子のダブルスは、過去ツアーで9度の決勝進出があった。しかし、すべて外国選手とのペアで、日本選手同士のコンビでは、史上初の快挙となった。大会は、直前に参加を予定していた男子選手が、ことごとく欠場。最も名前の売れた全仏準優勝のプエルタ(アルゼンチン)は、ドーピング疑惑に巻き込まれ、3回戦で姿を消した。一般の方は、あまりご存じないだろうが、男女同時開催のこの大会は、男子のほうが格上なのだ。女子の賞金総額17万ドルに対し、男子は69万ドル。しかし、その格とは反対に、女子テニスの人気が先行する。今回、そんな日の当たらない男子を救ったのが、鈴木、岩渕のダブルス制覇だった。

 鈴木と岩渕のコンビは、ジュニア時代から築き上げたものだ。鈴木が堀越高3年の時に、史上最年少で全日本室内の単複を制した。その時のペアが岩渕だった。国別対抗戦のデ杯では、これまで8対戦に出場し、最多の5勝を挙げている。しかし、岩渕が'00年を最後にデ杯代表から外れ、鈴木とのペアも遠ざかった。今年のデ杯対タイ戦で、久々に岩渕が代表に復帰。鈴木とのペアも復活し、強豪タイを破る原動力となった。そのデ杯からわずか3カ月後、2人は日本男子テニスに新たな歴史を刻んだ。

 男子ツアーを統括するATP(男子プロテニス協会)は、AIGオープンの前週から、試験的にダブルスに新たな試合方式を導入している。従来の6ゲーム先取から5ゲーム先取になり、各ゲームでデュースになると、ノーアドバンテージで、次の1ポイントで決まる。不人気でトップ選手が出場しないダブルスを、スリリングでおもしろい内容にしようというのが変更の建前だが、そこには、時間を短縮し、お荷物のダブルスをさっさと終えてしまおうという本音がある。しかし、テニスというスポーツは、シングルスとダブルスから成り立っており、ダブルスにはダブルスなりのおもしろさがある。盛り上げるのなら、試合方式を変える前に、地元選手のダブルスのアピールなどやれることは多い。鈴木と岩渕の優勝は、その典型だったのではないだろうか。日本のテニス界だけではなく、ダブルスを救うためにも意義ある優勝だった。

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