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王道と一線を画した全日本が見せる活気。 

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門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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posted2009/03/12 00:00

 武藤敬司の明るいキャラを前面に押し出す全日本が元気だ。

 “春の本場所”チャンピオン・カーニバル開幕を間近に控えた3月14日、ライバル団体の新日本、ノアを牽制するかのように東京・両国国技館大会を開催。世界タッグ選手権を含む3大タイトルマッチをぶち上げ、思い切った興行戦を仕掛けてきた。

 トップの武藤自身が新日本の1・4東京ドーム大会で棚橋弘至に敗れてIWGPヘビー級王座から陥落するポカを犯したが、武藤の化身とされる3冠ヘビー級王者グレート・ムタは健在だ。無冠の帝王・高山善廣(フリー)の挑戦を受けて2度目の防衛戦を行う。さらに、2月6日に後楽園ホールでノアの難敵丸藤正道を破る殊勲をあげたカズ・ハヤシ。半年ぶりに世界ジュニアヘビー級王座を奪還したベテランも新日本を退団した稔と初防衛戦を行うなど、まさに押せ押せムード。

 武藤体制になって7年目の全日本。故ジャイアント馬場の王道プロレスの匂いを完全脱臭し、明るく、楽しく、激しく、新しいパッケージ・プロレスのカラーを打ち出してきた。昨年は武藤がプロレス大賞MVPに輝き、11・3両国国技館の王者丸藤 vs.挑戦者近藤修司の世界ジュニア決戦がベストバウト、鈴木みのる、太陽ケア組が最優秀タッグチーム賞を受賞したように、営業力をつけたとはっきり印象付けた1年だった。

 “チェンジ”の要因は、ほかならぬ新しい血の導入にある。新人テストを主眼に置いた武藤塾が軌道に乗り、惜しくも新人賞を逃したKAIや大和ヒロシ、真田聖也といった軽量級の若い選手が戦力になってきた。生え抜きの諏訪魔の台頭ばかりか、キングコング近藤の入団があったり、大相撲から転向してきた29歳の新人、191kgの動けるデブこと浜亮太も面白い存在だ。個性豊かなキャラがそろっているところに、他団体にない底力を感じる。

 こうして国内の基盤を固める一方で、全日本は昨年11月の台湾遠征成功を機に、台湾、香港、マカオの巡業ツアーを計画。マーケット拡大を狙って本格的な中国進出を準備していると聞く。チャンピオン・カーニバルのメンバー発表ばかりでなく、プロモーター武藤の手腕と海外戦略にも注目したい。

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