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焦りは禁物、注目ルーキー辻内崇伸の育て方。 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2006/02/23 00:00

 巨人が甲子園を沸かせた高卒ルーキーを獲得したのは、'85年の桑田真澄(PL学園)以来のことではなかったか。即戦力ばかりに目が行き、時間をかけて育てることを忘れていた名門チームが久しぶりに獲得した甲子園のスター。昨年から行われた高校生と大学生・社会人の分離ドラフトの産物とも言えるが、巨人は辻内崇伸(大阪桐蔭)を、どのように育てようとしているのだろうか。

 2月5日、その辻内が初めて宮崎キャンプの二軍ブルペンに入った。清武英利代表、長嶋一茂代表補佐というフロントから、原辰徳監督、尾花高夫投手総合コーチといった現場の長までが見守るなかで、50球の初登板。

 第1クール最終日のブルペン入りを、今か今かと楽しみに待っていたのは、「この目で早く確かめたかったから」と言っていた原監督だ。本来、原監督は、辻内の一軍スタートを希望していた。だが、それに猛反対したのが今季から巨人に来た尾花コーチだった。「できあがった投手のなかで投げて焦るよりも、じっくり体を作ってから一軍に上げたほうがいい」というのがその理由だ。

 尾花コーチがソフトバンクを去るに当たって一番の心残りが「寺原隼人(日南学園)を一人前にできなかったこと」だった。高卒ルーキー1年目から一軍に置いてしまい、じっくりと育てられなかったツケが出てしまったという反省があった。そんな尾花コーチの説得に、原監督が乗ったのは、大正解だろう。先発候補が12人という巨人の一軍投手陣に入れば、辻内の焦りを呼ぶだけだ。

 昨年の高卒ルーキーの目玉、日本ハムのダルビッシュ有も二軍スタートだったが「しっかりと体を作ってから一軍に上がって正解だった」と言った。

 捕手を立たせての投球だったが、辻内はその素質を十分に見せた。桑田の初投げを受けた笹本信二査定担当は言った。「桑田の初ブルペンとまったく遜色のない回転のいい球がきている」。松坂の初投げを見て「宝物を見つけたようなもの」と語った当時の西武監督・東尾修は、この日の辻内を見て「宝物になる原石ではある」と言った。

 原石を磨き、下から育て上げた本物の先発投手。それが巨人再建の命運を握っている。

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