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新人の育成と起用が、勝敗を分けた今シーズン。 

text by

出村義和

出村義和Yoshikazu Demura

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photograph byYukihito Taguchi

posted2005/10/27 00:00

新人の育成と起用が、勝敗を分けた今シーズン。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 「アイツはクレメンスの再来だよ。ボールの威力はもちろん、マウンド上での堂々たる態度もすごく似ている」と、表現したのはレッドソックスの主砲、デービッド・オルティースだ。後半戦、3Aから昇格したジョー・パペルボンは最速155kmの剛速球と高速スライダーを武器に救世主的役割を果たした。元来は先発投手。メジャーデビューも先発だったが、ブルペン崩壊の大ピンチに未経験のリリーフ役に回り、大車輪の働きをみせた。地区シリーズに敗れたものの、チームが最後の最後でワイルドカードを手にできたのは、この24歳のルーキーの活躍によるところが大きい。

 今年のメジャーで特徴的なことは、このパペルボンと同様のセンセーショナルな活躍をみせ、しかもポストシーズン進出のカギを握った新人が数多く出現したことだ。実際、ポストシーズンを戦った8チームのうち、“ルーキーパワー”への依存がほとんどなかったのはアストロズぐらい。他の7チームはその存在なくして語れない。例えば、ヤンキースのロビンソン・カノーと王建民。ホワイトソックスの新守護神となった100マイル男、ボビー・ジェンクス。その極め付きはブレーブスだ。ポストシーズンでさえ、ブライアン・マッキャンと本欄でも紹介したジェフ・フランコア、2人の新人をスタメンに起用した。

 この他にも、後半戦にエンジェルスを急追したアスレティックスの新人たちが注目された。中でも快進撃の原動力になった新クローザーのヒューストン・ストリート、先発の一角に食い込んだジョー・ブラントンは、近い将来メジャーの顔にもなり得る逸材と評価されている。

 ロジャー・クレメンスらベテランパワーが依然として健在ぶりをみせつけた一方で、世代交代のビッグウェーブが押し寄せたシーズン。こうした流れは来年以降、一段と加速するに違いない。何しろ、新人登用がシーズンのポイントになったのだ。これまで慎重だったチームも追随するのは当然だろう。また、そうした動きが各チームのスカウティング活動や選手育成を活性化させることは確実だ。金にあかせて選手を買い集めた時代はついに終焉を迎え、今後『バック・トゥー・ベーシック』(原点回帰)に向かう兆候を見せたシーズンだった。

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