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“世紀の対決”破談で、
改めて感じた時代の変化。
~解せないパッキアオの過剰反応~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2010/03/01 06:00

NFLカウボーイズ・スタジアムで3月13日に行なわれる次戦の記者会見に臨むパッキアオ

NFLカウボーイズ・スタジアムで3月13日に行なわれる次戦の記者会見に臨むパッキアオ

 いまだに解せない。マニー・パッキアオはフロイド・メイウェザーの提案に、なぜあれほどまで過敏に反応したのだろうか?

 3月にも実現するはずだった、現在考えられる最も魅力的なカード、パッキアオ対メイウェザーの「パウンド・フォー・パウンド・キング対決」は、メイウェザー側の要求した「五輪方式のドーピング検査」をパッキアオが拒絶し“破談”となった。代わりにジョシュア・クロッティを相手に選んだが、これはあえてリスクを冒すようなもので、ナチュラルウェイトがウェルター級のガーナ人クロッティは番狂わせを引き起こす可能性を秘めた選手である。一方、フラれたメイウェザーは、3階級世界王者シェーン・モズリーと対戦することに決まった。

「モズリーは五輪方式の薬物検査を受け入れる」という報道には、ついニンマリしてしまった。大リーグのバリー・ボンズらが関わったとされる“バルコ・スキャンダル”が全米に巻き起こったとき、ボクシング界で唯一、この禁止薬物を提供されたと噂されたのが、ほかならぬモズリーだったからだ。この選手もスーパーフェザー級からスーパーウェルター級まで10kg近くバルクアップしている。

エリートボクサーがバルクアップに狂奔する理由とは?

 それにしても、因果な世の中になったものである。つい最近まで(多くは現在も)ボクサーはすべからく減量するものと見なされてきた。一部の選手たちが用いる禁止薬物といえば、興奮剤系のもので、減量に邪魔でしかない筋肉増強剤などは必要ないとされてきたのだ。

 しかし、今は違う。現代のエリートボクサーは、自らの肉体を可能な限り大きくし、重量級で戦うことを期待されている。もちろん、目的は「試合報酬」である。1試合で10億円を手にすると言われるパッキアオが、もし12年前と同じフライ級の体重であったなら、報酬は1000分の1以下だったろう。これはメイウェザーも同様で、'96年のアトランタ五輪時はフェザー級だった「プリティボーイ」は、5階級約10kgの増量なくして、今の成功はなかったはずだ。

それでも“世紀の対決”は近い将来実現する!?

 筆者としてはなお、パッキアオ対メイウェザー戦が近い将来実現することを期待している。理由は、好カードは実現しないほうが不自然という「メガファイトの法則」に則ってというしかないのだが。

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