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野球を愛する男たちの、恩返しのカタチ。 

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ビーチ

ビーチBEACH

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photograph byToshiya Kondo

posted2005/06/23 05:52

野球を愛する男たちの、恩返しのカタチ。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 九州の新しい地図を眺めてほしい。長崎の6つの町が合併して1島1市の「対馬市」が誕生したのは昨年の3月1日。対馬は日本海の西に浮かぶ細長い島で、長崎県全体の面積の約17%を占める。そんな新生・対馬が合併を記念して市をあげての大型企画を打ち立てた。

 市民球団の設立――。真っ先に賛同したのが、あの村田兆治だった。その名も『対馬まさかりドリームス』。選手は元阪神・藤田平、元阪急・福本豊、元広島・北別府学、元巨人・橋本清、元ヤクルト・池山隆寛、元ダイエー・カズ山本ら13名。村田は監督とエースを兼ねる。

 去る5月15日、そうした面々が島に招かれた。会場となった対馬グリーンパーク野球場は朝から賑わった。午前中の野球教室には心待ちにしていた島の子供たちが、選手たちをハイタッチでお出迎え。熱のこもった指導に、選手も子供たちも時間を忘れ、予定の時間が大幅にずれ込むほどの大盛況となった。午後からの親善試合には島内の一般選抜チームの登場。結果は3―0でドリームスの完封勝ちとなったが、この日、島民はテレビではない本物のプロ野球を身近に心行くまで楽しんだのだった。

 なぜ、この企画が成功したのか。

 「村田さんはよく『生涯勝利数215と同じ数だけ全国の離島をまわり、できるだけ多くの人たちに本物の野球を見せたい』といっていて、それで実現したんです。現役時代、故障に悩んだ時も支えてくれたファンへの村田さんらしい恩返しなんでしょう。僕らも同じ想いです」

 親善試合でも登板した橋本清はいう。

 「村田さんのすごさは、単に引退した今でもトレーニングを積んで、140kmの球が投げられるという肉体的なものだけではない。野球を愛する人をもっと増やしたいという熱意が満ち溢れているから、その姿に多くの人が賛同できる。僕と一緒で野球バカなんでしょうけど(笑)」

 しかし、村田のファンへの恩返しはまだ始まったばかり。橋本が続ける。

 「村田さんは、近い将来、離島の子供たちで“離島甲子園”を開催する構想を持っている。去年から野球は変わり始めた。OBの僕たちも変わらなければいけないと思っています。今後の野球のために」

 2005年の今、実は各地で野球を愛する人たちの動きが活発になっている。

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