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才能集団噛み合わず、リコーがTLから陥落。 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2008/02/14 00:00

才能集団噛み合わず、リコーがTLから陥落。<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

 数字の上では、僅かな望みは残っていた。だが膝をつき、目を赤くした選手たちの姿は、彼らが現実を理解していることを示していた。

 1月26日の秩父宮。トップリーグ第12節。自動降格回避を懸けた、前節12位の九州電力と13位リコーの対戦は逆転また逆転の末、九電が20対17で勝利を掴んだ。前節11位のクボタが残り2戦で勝ち点ゼロに終わればリコーが並ぶ可能性はあったが、その先には170点という絶望的な得失点差が聳え立っていた。

 「来年はトップリーグに出られません」

 試合後の会見。佐藤寿晃監督は険しい顔で言った。「何が敗因というより、負けたという結果がすべて。伝統あるチームに汚点を残してしまった」。

 事実、翌日にはクボタが日本IBMに勝ち、完全に降格が決定するのだった。

 栄枯盛衰は世の常だ。かつて頂点に君臨した八幡製鉄も新日鉄釜石も近鉄も、表舞台を降りていった。だが産業構造の変化で人材難に陥り、衰退していった先達とリコーでは、やや事情が異なる。

 「能力のある選手が揃ってる」。リコーについては誰もがそう評する。FL伊藤鐘史主将は京産大、新人ながら攻守の軸を担ったWTB小松大祐は立正大の出身。無名でも光る才能をいち早く獲得し、早大や関東学院大で桧舞台を踏んだ選手も毎年のように加わる。グラウンドは世田谷。勤務地は銀座や青山など都心部で、引退後に備えたキャリアも積める。魅力的な材料は多いが、反面では選手の育ったラグビー環境の違い、入社した動機の多様性が、チームへのスタンスと熱量に差異を生んでしまう。「個々の能力があっても15人が噛み合わない」と伊藤主将は呟いた。4季連続で入れ替え戦に回るという屈辱も、チームを目覚めさせることはできず……かくして、選手層の薄いサニックスやコカ・コーラウエスト、日本IBMなどの後塵を拝しての陥落だ。

 「1年で帰ってくるためのしっかりしたビジョンと強い意志を持ち続けないと。簡単に戻れるような甘いものじゃないけど、リコーはトップリーグにいるべきチームだと思うし」

 最古参のLO田沼広之は自分に言い聞かせるように話した。

 来季は豪州代表SOラーカムも加わる。名門は1年で復活を果たせるだろうか。

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