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子供の心の扉を叩くJFAの「夢教室」。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

posted2007/05/17 00:00

 「先生のことを知っている人は手を挙げてみて」と元気な声。4月19日、東京・文京区の明化小学校で、ゾノこと前園真聖氏が教壇に立った。授業はサッカーと同じく90分。前半は体育館にて遊びを取り入れた運動で子供たちにフェアプレーの精神を教え、後半は教室に移動し夢について子供たちと熱く語り合った。通っていた中学校にサッカー部がなかったら? 海外でプレーする夢がくじけそうになったら? と自分の過去の分岐点を持ち出して「君たちならどうする?」と問いかける。現役時代のドリブルを彷彿とさせるキレとテンポのあるトークで子供たちのハートをつかんだ。

 実はこれ、日本サッカー協会(JFA)が立ち上げた「こころのプロジェクト」の記念すべき最初の授業。イジメなどの社会問題を受け、JFAが今、最も力を入れている新たな取り組みである。元日本代表ら著名人を“ユメセン(夢の先生)”として小学校に派遣し、「夢」というキーワードから子供たちの心を育むというプロジェクトだ。思春期の入り口となる小学5、6年生をターゲットにすることで、心のケアにも努める。前園先生は「落ち込んだとき、一人で悩んでも解決しないよ」と繰り返しメッセージを送る。JFAとしてはサッカー指導や教育を通じて、イジメ撲滅に一役買うことを目標の一つにしている。

 第一回の授業を終え、同プロジェクト推進室の手嶋秀人室長は「子供たちの反応もまずまずで手応えは十分に感じた」と話す。先生役には「過去の自慢話にならないように」と生徒と触れ合って心を通わせるように念を押している。小野伸二らが登場して夢を語るビデオを上映したり、生徒が将来の自分を描くための夢シートを用意するなど工夫を凝らす。子供の心にしっかりと「夢」を焼き付ける授業内容を心掛けている。

 今年度中、計200回の授業を目標としており、場所も都内から徐々にエリアを広げていくという。先生役には北澤豪氏、城彰二氏ら元代表選手だけでなく、男女のOBとOG、昨年のW杯で主審を務めた上川徹氏、交通事故で車イス生活を余儀なくされながらも指導者としての夢を実現している羽中田昌氏ら多岐にわたる。JFAから発信された夢の輪が広がることを期待したい。

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