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病床のあの男にもエール、高山善廣復帰の興奮。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

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photograph byEssei Hara

posted2006/08/03 00:00

病床のあの男にもエール、高山善廣復帰の興奮。<Number Web> photograph by Essei Hara

 「生きてるよ!」

 試合後、頭を氷で冷やしたノーフィアー・高山善廣(39)の第一声だ。707日ぶりの復帰戦はノアの7・16日本武道館大会。高山は、倒れた時の大阪大会での対戦相手だった佐々木健介(今回、左眼窩底骨折を隠して出場)と組み、GHCヘビー級王者・秋山準、三沢光晴組と激突した。脳梗塞を乗り越え、リング復帰を果たしたプロレスラーはこれまでに前例がない。そこにはこの日に賭けた彼の想いと、タッグを組むはずであった小橋建太(39・右腎臓腫瘍の摘出手術に成功、退院間近)へのエールが重なっていた。また、何よりも高山にはリングに戻れた喜びがあった。

 筆者は12年前に脳梗塞で倒れ右半身に後遺症を持つ身。196cm、120kgのノーフィアーとは、いわば同病仲間。年齢や立場の違いはあっても、リハビリの情報交換や再発への不安など何度か語り合ったことがある。

 今回の復帰戦で、まず気になったのは麻痺した右半身の動き。筆者から見ればその状態がよくわかる。高山のパフォーマンスは、右足からロープ最上段をひとまたぎするリング・インに始まる。今回、左足のつま先をロープに引っかけたが、グイッとまたいで三沢、秋山をにらみリングに仁王立ち。これなら大丈夫! と確信した。超満員の観客席も“タカヤマコール”に揺れた。

 試合は秋山の十八番・リストクラッチ式エクスプロイダーに敗れたが、ひざ蹴り、ジャーマンスープレックスなど得意技を全て見せてくれた。三沢をコーナーに追い詰め「小橋! いくぞー!」と叫びながら18連発の逆水平チョップを見舞ったシーンは、この日一番のクライマックスとなった。

 だが、「100%ではないが、違和感は感じられなかった」と高山本人が試合を振り返るようにまだ本調子ではない。2年間のブランクを取り戻すのは実戦しかない。時期やタイミングはどうあれ、高山の復帰で、秋山のGHCベルトを巡る争奪戦が熱気を帯びてきたことは確か。

 ノアの日本武道館興行は9月9日。秋山は次期挑戦者にジュニアの人気者・丸藤正道を指名しているが、ここで高山が「ちょっと待て!」と割り込んできたら一段と面白くなる。

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