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「プレミアは魅力ない」
ベンゲル嘆き節の裏側。 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byKenji Yasuda

posted2009/04/24 07:00

 アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は今、ある不満を持っている。

「プレミアリーグの魅力は減少しつつある。今では2トップを採用するチームさえ少なく、試合は守備的になる一方だ。試合のクオリティーも下がっている」

 世はプレミアリーグ全盛だ。C・ロナウドにF・トーレスら、現代のスターが競演するプレミアの人気は文句なしの世界一。結果にも表れており、今季のCLを席巻しているのもプレミア勢だ。しかしベンゲルは主張する。

「得点の減少も、数字が証明している」

 実際はどうだろう?

 今季、第30節終了時点でのプレミア1試合平均得点数は2.45だ。昨季が2.64であったことを考えると、確かに減少傾向にある。このままシーズン終了を迎えると、'06 -'07 シーズンと並び、20チーム制になって以降最低の数字となる。

 他国リーグと比べると――。昨季、スペインのリーガ・エスパニョーラの1試合平均得点数は2.69、ドイツのブンデスリーガは2.81となっており、いずれもプレミアを上回る。ちなみにイタリアのセリエAは2.55で、Jリーグは2.56だ。Jリーグはベンゲルに言わせると“魅力的でない”部類に入ってしまう勘定だ。

 しかし、得点数は多ければいいのか?

 ゴール溢れる撃ち合いは面白いが、1-0の緊迫感も捨て難い。守備的だと英国で嫌われるセリエA(今季はTV放送さえなくなってしまった)の深みなど、ベンゲルは分かろうとさえしないだろう。

 得点数に応じたボーナス勝ち点制も提案するなど、ベンゲルはあくまで独自の考えを曲げない。氏曰く、

「今季のマンUは強いが、1-0での勝利が10試合もあるじゃないか」

 結局これ、早々とプレミア優勝争いから脱落し、宿敵の躍進を羨むベンゲルの、単なる泣き言なのかもしれない。

 今回から当欄を担当させてもらうことになった。筆者が初めて現地でプレミアを見たのは'99年のこと。当時の1試合平均得点数を調べてみると、過去最高の2.79だった。ベンゲルの言葉には素直に頷けないが、サッカーが変わりつつあるのも確か。時代と共に刻々と変わる欧州サッカーの動きを、現地からお伝えできればと思う。

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