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EUROを楽しむもうひとつの「見方」。 

text by

永井洋一

永井洋一Yoichi Nagai

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posted2004/06/17 00:00

 ユーロ2004の本命はフランス。対抗馬はスペイン、オランダ、ポルトガルだろう。4カ国のプレーに共通するのは、現代サッカーの戦術的キーワードの一つ――「ポゼッション」である。優れた技術を持つ選手たちが、計算された合理的なポジショニングの中で縦横にパスを回し、相手守備の綻びを引き出す。順当なら、こうした現代サッカーの最先端を走る戦い方を推進する国々の中から、欧州王者が決まるはずだ。

 そこで気になるのがイタリアだ。華麗なポゼッションサッカーのパスワークとは縁遠い堅守速攻の戦い方を頑なに守り続けている。ピッチをワイドに活用する前記4カ国とは違い、得点につながる攻撃のほとんどはペナルティエリアの横幅より狭いゾーンの中で一気に進められる。90分が終了した時点で相手より1点多く取っていればいいというリアリズムが、徹底して貫かれる。4年前の準決勝、前半34分にザンブロッタの退場で10人になり、ボールポゼッション率35%対65%と圧倒され、PK2本を与えながらオランダの猛攻をしのぎ切って勝利した泥臭さは印象深い。

 もう一つ、まったく評価の対象にもなっていないドイツも気になる。西ドイツ当時、'72年大会でネッツァーが流麗なサッカーを披露し、ウェンブリーでイングランドを3―1と粉砕して以来、この国のプレーが世界のサッカーに大きな影響を与えたことはない。しかし、'74年W杯優勝から'02年W杯準優勝まで、主要大会での通算勝率の高さは群を抜く。基本的な技術、戦術を地道に遂行し、手を抜かずに走り続け、気がつけば好位置につけて、最後は持ち前の勝負強さで結果を残していく。今回はオランダ、チェコと同組で、トーナメント進出のチャンスなしと見られているが、意外な結果もあるのではないか。

 イタリア(C組)とドイツ(D組)は、各グループ1位と2位が対戦する組み合わせだ。仮にドイツが死のD組を2位通過したとして、イタリアがC組1位通過なら両国はトーナメント1回戦で当たってしまう。そこで、何とか互いに1位通過、あるいは2位通過してほしいと願っている。最先端のサッカーとはほど遠いプレーを引っさげたこの両国が、フランス以下、現代サッカーを象徴するポゼッションサッカーを推進する国々にどのように立ち向かうのか、じっくり見てみたいのだ。

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