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大型ルーキーの成長は
長い目で見守るべき。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byTsutomu Takasu

posted2009/04/14 07:01

大型ルーキーの成長は長い目で見守るべき。<Number Web> photograph by Tsutomu Takasu

 J1開幕から3節が終了したばかりだが、早くも全勝はなくなった。どうやら今年も混戦模様である。2連覇中の鹿島でさえ落ち着かない。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)とJ1にまたがって連敗、という有様だ。

 しかし、逆にそんな状況が、話題の18歳を目立たせた。公式戦初先発となったACLでの上海申花戦。大迫勇也の1ゴール1アシストが連敗を止めたのである。

 沸き立つ報道陣は当然、試合後の会見でオリヴェイラ監督に大迫の評価を尋ねる。ところが、「とてもよかった」で始まった答えはたちまち、それまでの過熱報道をたしなめることへと主旨を変えた。

大迫の成長に関して、マスコミの責任も問うオリヴェイラ監督

「確かに、大迫は将来日本を背負う選手になるかもしれない。しかし、報道する側が彼にどう接し、どう扱うか。彼が今後伸びるかどうかは我々だけでなく、マスコミにも責任がある」

 これだけの結果を出した直後に、ずいぶん野暮なことを、とも思ったが、指揮官の意見には概ね賛成だ。

 実際、上海申花にとってより脅威だったFWは、どう見てもマルキーニョスのほうだ。このブラジル人FWが厄介なのは、ただエゴイスティックに自分のゴールだけにこだわるのではなく、抜群のチャンスメイクも見せることである。田代有三、興梠慎三、そして大迫。ここ数年、J最強ストライカーの傍らで、毎年のように鹿島の若いFWがブレイクするのは、恐らく偶然ではない。

マルキーニョスが育てる日本人FWたち

 大迫の公式戦初ゴールにしても、DF伊野波雅彦がなかば苦し紛れに大きく蹴ったボールを、マルキーニョスが巧みに拾ってペナルティエリア内へ持ち込み、ゴール前のDFを十分引きつけたことで生まれている。同じ1ゴール1アシストでも、例えば、浦和とのJ1開幕戦で記したマルキーニョスのそれとでは、他者依存度に大きな差があった。

 しかも、細かく大迫のプレー一つ一つに目をやれば、日本人相手なら目立たない、フィジカルコンタクトの弱さやボディバランスの悪さも気になった。現状では、「マルキーニョスありき」。まだまだ成長が必要なのだ。

 決定力不足にスター不在。いかに逸材とはいえ、まだ何事も成し遂げていない18歳の少年に、積年の課題を押し付けるのは、やはり早計と言うべきである。

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