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とうとう途切れそうな、日本人の欧州移籍。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2007/08/23 00:00

とうとう途切れそうな、日本人の欧州移籍。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 2001年以来、毎年夏になると誰かしらJリーガーが欧州に飛び出してきたが、とうとうその記録も途絶えそうである。移籍市場が閉じる8月31日までにまだ時間はあるが、この原稿の締め切り時点で新たに欧州組になった選手はいない。

 いったいどうして日本人の欧州移籍は減ってしまったのだろうか? 高原直泰の代理人で、稲本潤一のフランクフルト入りにも関わったトーマス・クロートは言う。

 「残念ながら、日本人の欧州移籍は非常に難しい状況です。なぜなら、Jリーグにタレントが見当たらないからです」

 クロートは選手発掘のために、定期的に日本の映像を手に入れており、6月のコロンビア戦もスタジアムで観戦した。もちろん全てのJリーガーをチェックしたわけではないが、少なくとも今の代表にはすぐに欧州で通用するだけの即戦力が見つからなかったという。

 「ブンデスリーガ以外の主要リーグでは外国人枠の問題もある。10代であれば将来性を見込んで獲得してくれるクラブもありますが、基本的に即戦力でなければ取ってもらえません」

 ただ、「タレント不足」だけが原因ではないだろう。個人的には「代表選手の野心不足」も影響していると考えている。

 オシムが代表監督になって以来、基本的に国内組で代表は構成されるようになった。三都主がいい例だ。浦和時代は代表の主力だったのに、ザルツブルクに移籍してからさっぱり呼ばれなくなった。

 「わざわざ長距離移動させてまで呼ばない」というオシムの方針が、代表選手の国外移籍を躊躇させているという一面はあるだろう。

 だが、高原が'99年のワールドユースから帰ってくると、マネージメント会社にすぐに国外の移籍先を探させたように、優れた選手ならより高いレベルで力を試したくなるはずだ。今の代表にDVDを送りつけてまで移籍してやるという野心を持った選手はいないのではないか。

 欧州組と国内組という区別以前に、野心を持っているか持っていないか、という線引きが今の代表にはあるように見える。欧州の壁を越えようという気持ちがなければ、アジアの壁さえも高く感じるようになってしまうのではないだろうか。

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