SCORE CARDBACK NUMBER

日本代表と似て非なるユーロ'08覇者達のプレー。 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byTomoki Momozono

posted2008/07/24 00:00

日本代表と似て非なるユーロ'08覇者達のプレー。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

 スペインの44年ぶりの優勝で幕を閉じたユーロ。大会終了後、UEFAテクニカル・ディレクターのロクスブルグは、スペインのサッカーをこんな言葉で表現した。

 「Love the ball」

 技術とコンビネーションに裏打ちされた華麗なパスワークは、愛しいボールを簡単に失うことがなかった。

 そんなスペインのスタイルは、日本人好みでもあっただろう。実際、中盤に小柄なテクニシャンを並べたパスサッカーを、日本代表とダブらせて見ていた人も多かったのではないだろうか。

 だからといって、スペインができるなら日本も、というほど単純な話ではないと思う。選手の個人能力に差があることはもちろんだが、組み立ての発想そのものが違っていたからだ。

 とかく日本代表が1トップにすると、「ボールが前線に収まらない」、「タメができない」といった話が聞こえてくる。前線へクサビの縦パスを入れることが、攻撃の組み立ての第一歩であるという前提で。ところが、スペインの場合、その発想自体がほとんどなかった。

 当然、トーレスは下がって顔を出す、などということはしない。つなぎは中盤の選手に任せ、ただひたすら、“前を向いて勝負できる体勢”を整え、パスのタイミングを計る。テレビにはあまり映らなかったかもしれないが、シャビやイニエスタがボールを持ったとき、トーレスは盛んに、チェックの動きから裏を狙うという動作を繰り返していた。

 組み立てを担う中盤は、セスクを筆頭に、相手ゾーンディフェンスの継ぎ目に生まれるスペースを使うのが、抜群に上手かった。これによって、MFだけでもボールを前へ運ぶことができ、FWはフィニッシュを最優先に、次のプレーの準備をすることができたのである。

 テクニックのあるMFは豊富だが、FWは人材難。そんな状況のなかで、日本代表は現在、4−2−3−1を採用している。しかし、それがうまく機能しているとは言いがたい。苦しむ日本代表にとって、スペインがユーロで見せたサッカーは、福音であるようにも思える。

 確かに、表向きの姿は似ていた。だが、日本がスペインになろうと思えば、まずは発想の転換が必要である。

関連キーワード
EURO2008

ページトップ