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波瀾万丈のドキッチが全豪で再起を目指す。 

text by

吉松忠弘

吉松忠弘Tadahiro Yoshimatsu

PROFILE

photograph byHiromasa Mano

posted2008/01/17 00:00

波瀾万丈のドキッチが全豪で再起を目指す。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

 エレナ・ドキッチという女子選手を覚えているだろうか。「ドキック」という表記で見覚えがある人もいるかもしれない。旧ユーゴスラビアの出身で、10歳の時に、内戦を逃れるのとテニスのために、一家でオーストラリアに居を移した。同時にオーストラリア国籍を取得。同国のNo.1として、'98年全米オープン・ジュニア優勝、'99年のウィンブルドンでは16歳で予選から勝ち上がり本戦ベスト8に進出。翌年にはベスト4に入り、'02年には世界ランク4位にまでなった。シドニー五輪では、地元の「五輪大使」に選ばれるほど、期待された若手だった。

 しかし、父ダミルの奇行で、いつもトラブルが絶えなかった。酒癖が悪い父親は、大会会場で観客に絡んだり、会場の駐車場で寝ころび交通を遮断したりと、度重なる騒動を巻き起こした。その度に、警告を発してきた女子テニス協会(WTA)も堪忍袋の緒が切れ、ツアーからダミルを締め出すことを決めた。オーストラリアのテニス協会とも折り合いが悪くなり、'01年から出身地のユーゴに一家で戻った。それ以来、ドキッチ自身の成績は徐々に下降線を描き、この3年はまったく鳴かず飛ばず。昨年は、3月にローマで行われたツアー下部のチャレンジャーに2大会出場しただけで、一時は世界ランクも消滅していたほどだ。

 そのドキッチが、再びオーストラリアに戻り、再起を図っているという。手始めに、1月14日から始まる全豪出場に焦点を絞った。優勝者に大会推薦枠が与えられる昨年末の国内選考会に出場し、準々決勝をケガで途中棄権したが「どんどん良くなってきている。ケガもたいしたことはない」と手応えをつかんだ様子だ。国内選考会に敗れたため、自力での全豪出場はなくなった。残された可能性は、オーストラリア協会の推薦に希望を託すだけだ。全豪の大会ディレクターは「彼女は、まだ十分にファンを引きつける魅力がある。正しい方向に進んでいると思う」と、候補の1人であることを明かした。女子シングルス本戦の大会推薦枠は全部で7つ。その内の3つは、国内選考会の覇者や、アジア選手権優勝者らに与えられる。残された4枠の中に、ドキッチの名前があるかどうか。どちらにしても、全豪前哨戦で、ドキッチは約10カ月ぶりの復帰を果たす予定だ。

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