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予想以上に成功した、PRIDEの米国進出。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2006/11/09 00:00

予想以上に成功した、PRIDEの米国進出。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

 「フェードル! フェードル!!」

 耳をつんざくばかりのヒョードルの英語読みコールが超満員の観衆で膨れ上がったトーマス&マックセンターに響き渡った。10月21日(現地時間)、アメリカ・ネバダ州で行われたPRIDEラスベガス大会のメインイベント。現地の観客が一番声援を送ったのは意外にも同胞のマーク・コールマンではなく、初めてアメリカで試合をするロシア人のエメリヤーエンコ・ヒョードルだった。

 もちろんコールマンにもそれなりの声援が飛んできたが、ヒョードルのまるでハンマーを打ち込むような軌道の豪快なフックがヒットするたびに、それ以上のどよめきをあげるしかなかった。「ボンッ!」という強烈な破壊音と同時にコールマンの足元がふらつくのだから無理もない。

 試合当日になってスペシャルゲストのマイク・タイソンがドタキャンというアクシデントもあったが、全体を通してみれば、PRIDEのアメリカ進出第1弾は大成功に終わった。その理由は日本で開催されているPRIDEのイベントをルール以外はそのまま持ち込んだことだろう。オープニングでお馴染みのメロディが鳴り響くと、そこはまさにPRIDEワールド。炎や花火を使った従来のアメリカの格闘技イベントにはない派手な演出と、PRIDEならではの熱い試合内容に大観衆は酔いしれた。反対に日本と同じルールを認めなかったネバダ州のアスレチックコミッションが紹介されると、容赦なくブーイングが飛んだ。それだけ会場に集まった現地のMMAファンはUFCより過激になったPRIDEルールでの試合を見たがっていたのだ。

 昨今のアメリカのMMAブームのきっかけを作ったUFCを黎明期から撮り続け、今回もファインダー越しに熱戦を追った写真家の長尾迪さんは呟く。

 「今、アメリカのMMAファンは黎明期と同様に過激なルールを求めている。今回の成功でアメリカのファンのニーズはグルッと一巡したような気がします」

 今大会の大当たりに気を良くしたDSEは大晦日に埼玉での開催が正式決定した男祭りと同時間帯にマカオでも中国版の男祭りを行う計画があることを明かした。そちらの方の目玉は未だ日本には入国できないタイソン。実現すれば、大晦日の格闘技興行戦争は初めて海を渡る。

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